英国のEU離脱が大きな話題になっています。円高が進み、株は暴落し
ました。しかし、ちょっと騒ぎ過ぎではないでしょうか。英国はもともとEU
には遅れて参加したので、少し前に戻るだけです。
移民排斥などの主張をとらえて、すぐにポピュリズムとかいう批判が出て
きますが、レッテルを張っても真実は見えてきません。
私は、グローバル化に一休みしてもらおう、という事だと思います。良い
ことずくめのように言われますが、グローバル化は世界の貧富の差を途方
もなく拡大してきました。最も利益を得るのはごく一握りの強者たち。一般
庶民は置いてきぼりで、むしろ貧しくなっています。
アベノミクスのそうです。超金融緩和で一部大企業の幹部と財界は潤いま
したが、輸入物価の上昇などで庶民は苦しくなりました。貧者から富者へ
の所得移転が起こったのです。個人消費の低迷は消費税アップのせいだけ
ではなく、そうした構造変化が真の原因だと思います。
いま世界の課題は、強者が好きなだけ儲けられる「強欲資本主義」から、
分配の公平を図る穏健な社会民主主義への移行だと思います。タックス
ヘイブンなどは、世界の協調で無くしていかなければなりません。ところ
が、安倍政権は調査すらしないそうです。どうしようもありません。
TPPもそうです。一部の強者に都合のよい仕組みをさらに拡大すること
であり、庶民には必ずしも得にならない、損になることもあると思います。
ひと休みして、よく検討しましょう。秘密裡に交渉して、これで言う事を
聞け、というのでは納得できません。
アメリカの大統領予備選挙を見ると、アメリカ社会も大きく分裂している
ようです。たった1%の人達が全米資産の3分の1以上を持っているような
社会 (上位10%の人たちでは7割以上)、貧困率が先進国で最悪の社会。
大学奨学金返済で生活苦になるのがザラというのですから、もはやアメリ
カンドリームは消滅したとさえ言われる時代です。
こうした世相を見ていると、ドイツでヒトラーが独裁権力を強奪した歴史
を思い出さざるを得ません。
先日から「ヒトラー 権力掌握の二十カ月」(グイド・クノッブ著、高木玲
訳、中央公論新社 二千十年) を読んでいます。どうしてヒトラーのよう
な極悪人が政権を取り、独裁者になれたのか。当時のドイツ政界のいろ
いろな経緯と、合法性をよそおって憲法を骨抜きにしていったその手口が
詳しく解説されています。そしてヒトラーが一たび権力の座につくと、政敵
を一挙に弾圧・暗殺し、憲法上はヒンデンブルク大統領の死後は最高裁
長官が大統領権限を引き継ぐと規定されているのに、それに違反した
ヒトラーを批判する人は誰もいなくなっていました。国民は争ってヒトラー
の先兵となり、積極的に残虐な政策に加担していったのでした。
私は、ヒトラーが権力を掌握した根底は、貧困にあえぐドイツの国民多数
の声を旧来の政治家が汲み取らず、貧富の差を解消しようとしなかった
ことだと思います。既成政党や既成政治家は信用されなかったのです。
日本でも同じようなことが起きました。歴史を忘れてはなりません。
いま世界で起きていることは、庶民の不満の爆発です。不公平・不平等
を解消していかなければ、もっとひどいことになりかねないと思います。
(わが家で 2016年6月25日)
ました。しかし、ちょっと騒ぎ過ぎではないでしょうか。英国はもともとEU
には遅れて参加したので、少し前に戻るだけです。
移民排斥などの主張をとらえて、すぐにポピュリズムとかいう批判が出て
きますが、レッテルを張っても真実は見えてきません。
私は、グローバル化に一休みしてもらおう、という事だと思います。良い
ことずくめのように言われますが、グローバル化は世界の貧富の差を途方
もなく拡大してきました。最も利益を得るのはごく一握りの強者たち。一般
庶民は置いてきぼりで、むしろ貧しくなっています。
アベノミクスのそうです。超金融緩和で一部大企業の幹部と財界は潤いま
したが、輸入物価の上昇などで庶民は苦しくなりました。貧者から富者へ
の所得移転が起こったのです。個人消費の低迷は消費税アップのせいだけ
ではなく、そうした構造変化が真の原因だと思います。
いま世界の課題は、強者が好きなだけ儲けられる「強欲資本主義」から、
分配の公平を図る穏健な社会民主主義への移行だと思います。タックス
ヘイブンなどは、世界の協調で無くしていかなければなりません。ところ
が、安倍政権は調査すらしないそうです。どうしようもありません。
TPPもそうです。一部の強者に都合のよい仕組みをさらに拡大すること
であり、庶民には必ずしも得にならない、損になることもあると思います。
ひと休みして、よく検討しましょう。秘密裡に交渉して、これで言う事を
聞け、というのでは納得できません。
アメリカの大統領予備選挙を見ると、アメリカ社会も大きく分裂している
ようです。たった1%の人達が全米資産の3分の1以上を持っているような
社会 (上位10%の人たちでは7割以上)、貧困率が先進国で最悪の社会。
大学奨学金返済で生活苦になるのがザラというのですから、もはやアメリ
カンドリームは消滅したとさえ言われる時代です。
こうした世相を見ていると、ドイツでヒトラーが独裁権力を強奪した歴史
を思い出さざるを得ません。
先日から「ヒトラー 権力掌握の二十カ月」(グイド・クノッブ著、高木玲
訳、中央公論新社 二千十年) を読んでいます。どうしてヒトラーのよう
な極悪人が政権を取り、独裁者になれたのか。当時のドイツ政界のいろ
いろな経緯と、合法性をよそおって憲法を骨抜きにしていったその手口が
詳しく解説されています。そしてヒトラーが一たび権力の座につくと、政敵
を一挙に弾圧・暗殺し、憲法上はヒンデンブルク大統領の死後は最高裁
長官が大統領権限を引き継ぐと規定されているのに、それに違反した
ヒトラーを批判する人は誰もいなくなっていました。国民は争ってヒトラー
の先兵となり、積極的に残虐な政策に加担していったのでした。
私は、ヒトラーが権力を掌握した根底は、貧困にあえぐドイツの国民多数
の声を旧来の政治家が汲み取らず、貧富の差を解消しようとしなかった
ことだと思います。既成政党や既成政治家は信用されなかったのです。
日本でも同じようなことが起きました。歴史を忘れてはなりません。
いま世界で起きていることは、庶民の不満の爆発です。不公平・不平等
を解消していかなければ、もっとひどいことになりかねないと思います。
(わが家で 2016年6月25日)