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民主党税制抜本改革アクションプログラム
-納税者の立場で「公平・透明・納得」の改革プロセスを築く-
民主党税制調査会
民主党は昨年の「民主党税制改革大綱(2007.12.26)」において、納税者の立場に立って税制のあり方を根本的に変える税制抜本改革に政権を担った暁には着手することを宣言した。この税制抜本改革は単に税制の中身にとどまるものではなく、税制を決めるプロセスにおいても実現されなければならない。
これまでの自民党政権下における税制改正は、税制に関する法的な権限と責任を有するはずの総理大臣や財務大臣、総務大臣よりも強大な権限を、なんら法的な責任を負わない与党税制調査会が持ち、そこでの議論によって実質的な税制改正が決められてきた。
このような法的な責任を負わない機関が実質的な意思決定権を有するという“権力の二重構造”は自民党政治の象徴であり、民主党政権においてはこうした無責任・不透明な体制は根絶しなければならない。
したがって、国民生活に直接影響する税制についても、誰が、どのような内容の税制改正を、どのような手続きで決定するかという税制改正プロセスは、納税者である国民の目から見て、納得できるものにしなければならない。
資本主義のあり方そのものが問われているといわれるほどの世界的な経済危機の中で、人口減少・超高齢社会という大きな社会構造の変化の真っ只中にあって、わが国が時代と社会情勢に適応した税制へと抜本改革を実現するためには、税制改革の内容だけでなく、それを実現するプロセスにおいても納税者の視点に立って「公平・透明・納得」のプロセスにする必要がある。それによって初めて抜本改革に対する国民の理解と協力、そして信頼が生まれ、それが抜本改革の実現につながるのである。
民主党が政権を担った際には、昨年の大綱でとりまとめた税制抜本改革を、納税者の立場に立った「公平・透明・納得」のプロセスによって直ちに着手し、実行に移す。
1.民主党政権がめざす税制抜本改革のビジョン
(1)納税者の立場に立つ
「代表なくして課税なし」の言葉に象徴されるように、議会制度は税と共に発展してきたといっても過言ではない。つまり議会制民主主義における税のあり方は、あくまでも税を納める納税者の立場に立って決められるべきものである。しかし、これまでの政権下では、この根本がないがしろにされ、納税者よりもむしろ為政者の立場に立って税制が決められてきた。
民主党政権では、税の根本に立ち戻り、納税者の立場で現在の税制を根本から作り直す。
(2)「公平・透明・納得」の三原則
納税者の立場に立ってあるべき税制の姿を考えると、それは公平で仕組みが透明で分かりやすく、その仕組みに基づいて納税することについて、誰もが納得できるものでなければならない。
民主党政権では、税制抜本改革にあたり、納税者の立場に立って「公平・透明・納得」の三原則を掲げる。
(3)時代と社会の変化に適合する
世界はグローバリゼーションの進展により、これまで各国税制の前提条件であった「国は納税者を囲い込むことができる」という状況が根本的に変化し、納税者である人や企業は、担税力の高い者ほど納税する場所さえ、自ら自由に決めることができるような状況が生まれている。
また、税と社会保障の一体化やグリーン税制改革、国際連帯税など、新しい税制改革の潮流も生まれている。
さらに、わが国は人口減少・超高齢社会というこれまで経験したことのない新しい社会へ突入している。税制抜本改革を行うに際しては、こうした時代や社会の変化をしっかりと認識しなければならない。
民主党政権では、新しい時代と社会に適合した新しい税制の仕組みを築く。
2.税制改正プロセスの抜本改革
(1)これまでの政権における税制改正プロセスの問題点
○ 与党税制調査会、政府税制調査会、経済財政諮問会議がバラバラの議論を行っており、責任の所在が曖昧である。
○ 与党税制調査会は、政策決定の過程が極めて不透明で、既得権益の温床となっている。
○ 政府税制調査会は、内閣総理大臣の諮問に対し答申を出すことが本来の仕事である。しかし、様々な有識者や業界団体の代表者等により構成されているため、答申は利害調整の結果の妥協の産物となりがちである。しかも、与党税制調査会を慮った答申が続いており、本来の機能を果たしているとは言えない。
○ 現下の厳しい財政状況の中で財政規律を堅持しつつ、メリハリの効いた予算編成を行うためには、歳入をまず見極め、その上で歳入に見合った歳出を決める「入るを量りて出ずるを制す」という考え方に立って予算編成を行うことを基本とすべきである。しかし、自民党政権はムダづかいや将来への負担先送りをするばかりで、歳入歳出ともに制することも量ることもできず、迷走している。
(2)民主党政権における税制改正プロセスの基本的考え方
○ 「公平・透明・納得」の改革プロセスを築く。
○ 責任の所在を明確化し、政治主導の政策決定を行う。
○ 政策決定の過程を透明化する。納税者の立場に立った税制議論を行い、既得権益を打破し、公平で国民が信頼し納得する税制を築く。
○ 「入るを量りて出ずるを制す」の考え方に立ち、まずは歳入予算を定め、それに対応した歳出予算を定めることを基本とする。
○ 無節操な歳出増大を防ぎ、財政規律を堅持して財政の持続可能性を維持する観点から、減税を行う場合はそれに見合った歳出削減若しくは減税措置の見直しを行うことを原則(Pay as you go原則)とする。
○ 国は国税中心に制度設計を行い、地方税は地方が独自に制度設計をできる仕組みに改める。
(3)具体的な税制改正プロセス
①政府部内における集約
○ 与党内の税制調査会は廃止し、財務大臣の下に新たな政治家をメンバーとする政府税制調査会を設置し、政治家が責任を持って税制改正作業及び決定を行う。
○ 現在、党内各部門の税制担当主査が各部門で行っている税制改正に関する意見集約を、新政権下では、各省庁に税制担当政務官を配置し、政務官が各省庁で税制改正に関する意見集約を行う。
○ 地方税については、地方6団体、総務大臣、および、新たな政府税制調査会が対等の立場で協議を行う。将来的には、地方6団体を核とし、地方自治体の主体的判断に委ねる仕組みとする。
○ 従来の政府税制調査会は廃止し、代わりに税制の専門家として中長期的視点から税制のあり方に関して助言を行う専門家委員会を新しい政府税制調査会の下に置く。
○ 「租税特別措置透明化法」に基づく情報も踏まえつつ、政府部内での税制改正に関する意見集約を秋までに行う。
○ 意見集約の過程は公開を原則とする。
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政権奪取しないとなんともならない(^^)