年末年始は値上げの暴風雨か──。東京商工リサーチ(TSR)が28日発表した調査結果によると、10月は4000品目超の食品値上げが庶民の懐を直撃する。加えて、足元は円安と原油高が進行。まだまだ値上げ地獄は終わらない。
TSRは飲食料品メーカー200社を対象に調査。うち47社が10月に値上げを実施し、品目数は4151に上る。2月(5470品目)、4月(5234品目)に次いで今年3番目の多さだ。リポビタンD(大正製薬)や東京ばな奈(グレープストーン)などの人気商品の他、酒税改正により、第三のビールや日本酒、焼酎の価格がアップする。ハム・ソーセージ類は、日本ハムが9月に実施済みだが、10月には伊藤ハム・米久、プリマハム、丸大ハムが追随する。
驚いたのが、発表から実施までの周知期間が短いこと。東京ばな奈は9月15日発表で10月1日実施。リポビタンDは9月5日に発表し、10月2日から実施する。異例の“スピード値上げ”だ。
今後の値上げについて、TSRは現時点の判明分として、11月59品目、12月503品目、来年1月190品目と発表しているが、これでは済まない。足元では、1ドル=150円に近づく円安と、1バレル=100ドルに迫る原油高が進行中だからだ。末端価格に反映されるのはこれから。いつ頃、動いてくるのか。
「円安と原油高は客観的な理由であり、理解が得られやすい。コストアップ分を自社で負担したくないため、早々に動くと思われます。12月か来年1月実施のスピード値上げの可能性があります。食品の原材料は輸入品が多く、円安の影響は大きい。加えて原油高によりエネルギーや物流費の負担が増える。プラスチック製の日用品など石油由来の製品は、食品以上に活発な値上げになるでしょう」(二木章吉氏)
PB品の価格引き下げはどうなる?
最近、耳にする「値下げ」の動きはどうなるのか。輸入小麦の政府売り渡し価格は10月から11.1%引き下げられる。イオンや生協はPB(プライベートブランド)品を対象に価格の引き下げを発表している。
「パンや菓子メーカーの小麦の仕入れ価格がダウンしても、これだけ円安と原油高が進めば、末端価格の引き下げに至らない可能性は十分あります。イオンや生協のような値下げは広がりを見せていません。この先も値下げは限定的で、値上げが圧倒することになると思います」(二木章吉氏)
物価高が長期化し、実質賃金は16カ月連続のマイナスだ。連続記録は安倍政権下の2013年7月から15年3月の21カ月。円安・原油高はすぐには収まらないとみられている。お先真っ暗だ。
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