1打差2位から出た古江彩佳(24=富士通)が1イーグル、6バーディー、2ボギーの65で回り、通算19アンダー265、奇跡の逆転でメジャー初優勝を飾った。第2ラウンド(R)で単独首位に立ったが、第3Rで2位に後退。最終日も一時3打差をつけられたが、最後まであきらめず、逆転し悲願を達成した。米ツアーの優勝は2022年7月のスコットランド女子オープン以来2回目となった。

奇跡といっていい。12番のボギーでトップと3打差をつけられた。厳しい状況だが、古江は「あきらめそうになったが、しっかり信じて」前を見た。14番パー3では約10メートルのバーディーパットをねじ込む。残り4ホールで2打差。続く15番パー5でも約10メートルのバーディーパットを沈めた。これで残り3ホールで1打差。完全に逆転優勝を視野に入れた。16番パー3も2メートルにつけてバーディー。しかし、首位のキリアクーもバーディーだっため、1打差は変わらない。

残り2ホール。17番はパーだったが、キリアクーがスコアを落としたため、3人が17アンダーで並んだ。勝負の18番パー5。第1打は右のファーストカット。そして第2打を約2メートルにつける。このイーグルパットをしっかり沈めて優勝を引き寄せた。山下、勝、西郷、西村ら日本勢から祝福のシャンパンファイト。その目には光るものがあった。

今季は今大会まで17戦中8戦でトップ10に入った。5~6月にかけては4戦連続トップ10も記録。そんな絶好調の中で、まさかのことが起きた。最後の最後でパリ五輪代表から落選。ランキングで次点となる日本勢3番手で五輪代表を逃すのは、前回東京大会に続く悲劇だった。

「優勝争いしているときに勝っておけば…」。悔しさとともに、最後の最後の詰めの甘さを痛感。優勝への意識も強まった。ツアーのなかった前週は日本に一時帰国。ゴルフを教わってきた父芳浩さんとショットやパットを調整。効果は出た。グリーンを外したのは第1Rは1度、第2Rは2度でノーボギーだった。第3Rこそ2回、ボギーをたたいたが、この日はラウンド前に映像で確認してスイングを修正。しっかりと立て直した。

日本女子のメジャー制覇は77年全米女子プロ選手権の樋口久子、19年全英女子オープンの渋野日向子、21、24年全米女子オープンの笹生優花に続き5度目の快挙。「パリ(五輪)では優勝できなかったですけど、フランスのメジャーで勝てて気持ちを晴らせた」。努力は裏切らなかった。

◆古江彩佳(ふるえ・あやか)2000年(平12)5月27日、兵庫県生まれ。3歳でゴルフを始める。高校ゴルフの名門、兵庫・滝川二高に進学し、17年全日本大学・高校ゴルフ選手権優勝など多くのタイトルを獲得。19年富士通レディースで史上7人目のアマチュア優勝を果たし、プロ宣言。コロナ禍で統合シーズンとなった20~21年シーズンは6勝を挙げ、ルーキー年ながら賞金ランキング2位。22年から米ツアー本格参戦。22年7月のスコットランド女子オープンで米ツアー初優勝。浜崎あゆみの大ファンで、昨年の代々木第1体育館でのカウントダウンライブにも行った。153センチ。

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