★防衛力増強、増税議論、子育て議論に至っては「産休・育休中の親にリスキリング支援を行う企業に対して、国が支援を行うことで、子育てにも仕事にも前向きになれる」(27日の参院本会議)と子育て経験のない人にまで、こののんきな議論は失笑どころか大笑いされている。この国は何を目指しているのか。どういう国家ビジョンがあるのか。自民党や岸田政権は現状維持と過去の成功体験からくる「日本すごい」自慢と勘違いが渦巻いているのではないか。
★防衛力増強や増税は、発展途上国家と成熟国家の政策の混在に過ぎない。防衛に頼るのは外交力が未熟とみられるだろうし、増税は国家の大計が出来ているならばともかく、行けるところまで行く玉砕型の国家運営ではいくら増税しても追いつくまい。そもそも産休・育休と学びなおしを同時にこなせるほどこの国に余裕があると思っている官僚や政治家がいることが未成熟なのか、大局が見られない国の指導者が増えた証しになる。現状に手を打たず先送りで立ち往生するまで進んでいく号令を歴代首相がしてきたわけだが、限界は過ぎていても何とかなるではないかという楽観論がはびこり、そうこうしている間に賢い国や後発の日本を手本に同じ失敗を繰り返さないように慎重に進んできた国家が台頭していることにも見ぬふりをしていたが、もう限界だ。
★第一生命経済研究所首席エコノミスト・熊野英生がまとめた「ドイツに抜かれそうな日本--『まずい』の危機感がないと本当にまずい」は2010年に中国に抜かれ、今度はドイツにGDP(国内総生産)で抜かされそうというものだが、それどころか1人当たりGDPでは韓国、ついには台湾にも抜かれるのは時間の問題といわれる。人口比に対して生産性が低いのは高齢社会と少子化。そして働き方が過去の慣例に縛られ改善されない。つまり今まで通りの働き方しかできない、前例や慣例に縛られる官僚や政治家には無理なのではないか。今は「日本すごい」ではなく「日本まずい」なのだ。(K)※敬称略
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