蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

君の膵臓をたべたい

2016年03月03日 | 本の感想
君の膵臓をたべたい(住野よる 双葉社)

娘が読んで、「たいそう良い」というので借りて読んでみました。
なるほど、砂糖とミルクをたっぷり入れたコーヒーのような味わいの小説で、年頃?の夢見る中学生を酔わせる要素が強い作品でした。

目立たない女の子が学校一の人気者の男子生徒になぜか気に入られるけど、男子生徒には大きな秘密があって・・・などという典型的な少女マンガをさかさまにしたようなストーリーで、主人公の名前を意図的に伏せている点にタネがある叙述モノなのかと思って読んでいたのですが、そういうミステリ的な仕掛け、あるいはタイトルから連想されるようなホラー的要素は全くないストレートな恋愛小説でした(というか、もしかして私が気づいていないだけ?)

いまどき、こんなプラトン的?生活やお付き合いができる高校生がいるんかい、などといのは野暮で、現実にはいないからこそ人気がでるのでしょう。
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オデッセイ

2016年03月03日 | 映画の感想
オデッセイ

原作を読んだ後に見に行きました。

2.5時間と長尺なのですが、原作の魅力である細かな科学的(と見せかけた?)説明は当然ながら相当にはしょられているので、原作を読んでないと理解できない場面が多いのではないか(例えば、パスファインダーって何?とか、火星の基地のエアロックはなぜ爆発したのか、など)という懸念を感じました。
一方で、ややこしい話をうまくまとめてラストで大きなカタルシスを作ることに成功している(母船にピックアップされる場面はたいそう盛り上がります)ようにも思えて、映画としてはこれでいいのかなあ、とも思いました。

「オデッセイ」という邦題も初めて聞いたときは、どうよ?って感じがしましたが、「火星の人」とか「マーシアン」ってわけにはいかないでしょうから、見終わった今では、まあまあ内容にふさわしいもののように思えました。(もっとも「オデッセイ」が“冒険の長い旅”的な意味であることを知っている人がたくさんいるとも思えませんが)

原作を読んだ時に私が感じた心配(マジメな人の印象の強いマット・デイモンでは原作の乾いたユーモアを表現しにくいのではないか)については、懸念通りで、映画の中のワトニーは謹厳実直なNASA職員、というイメージでした。
映画の中ではリッチ・パーネル(ヒッピーっぽい格好の軌道計算のスペシャリスト)とヴェンカトが原作の雰囲気に近いものがありました。
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