蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

満願

2016年03月13日 | 本の感想
満願(米澤穂信 新潮社)

いろいろなベスト10モノで高く評価されただけのことはあるなあ、と思わされるエクセレントなミステリ短編集。

「夜警」は警察(交番)もの、「死人宿」は怪談?系、「柘榴」はファミリー小説、「万灯」はハードボイルド系?のビジネス小説、「関守」はサスペンス、「満願」はホワイダニットと、各編がバラエティに富んでいるのに、いずれもミステリとして堅固な作り(伏線や回収がしっかりしている)になっていて、かつ、論理性も十分だった。

警察小説が好きな私としては「夜警」が一番のお気に入りだが、「柘榴」も今までに読んだことがないような意外性あふれる筋立てにうならされたし、「関守」も楽しく読めた。
結局、全部良かっただが、本作の中でもひときわ世評の高い「満願」は謎解きがやや拍子抜け気味だったような気がした。
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