蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

言ってはいけない

2016年06月18日 | 本の感想
言ってはいけない(橘玲 新潮新書)

行動遺伝学における知見をもとに、題名通り公には口にするものはばかれるような人間の本性?を語るエッセイ集。

知見をもとに、といっても(著者の他の作品でもよくみられるように)いろいろな本から得た(普通の人にとっては意外感がありそうな)話を並べたよう内容。
その情報源の本もほとんど翻訳書なので、こうした分野に興味と知識がある人には退屈に感じられるだろうな、と思えた。
私はそういう知識はないけど、著者の作品はほとんど読んでいるので「どこかで読んだな、この話」と思えるようなものも散見された。それでも新刊が出ると読んでしまうのは、やっぱり語り口がうまいせいだろうか。本書もさくさくと読めた。

頭がいい人(知能指数が高い人)ほど高い経済的地位を得られる→
知能指数は人種によって影響される→
このため特定の人種(知能指数が高くない人が多い人種)でリッチになれる人は少ない。
といったような、ミもフタもない話が続く。
「けしからん」なんて思う人もいるかもしれないけど、「まあ、そんな説もあるのかもね」くらいに受け止めてエンタテイメントの一種として楽しめばよいかと思う。

みんな、そんなことを言われなくてもわかっているけど、あえてそういうことを言わないことにして、できる限りタテマエの世界で生きていきましょう、というのが世間というものだと思う。
なので、本書を読んだ感想を一言でいうと
「それをいっちゃあ、おしめえだ」
コメント
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