蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ゴジラVS自衛隊 アニメの戦争論

2025年02月15日 | 本の感想
ゴジラVS自衛隊 アニメの戦争論(小泉悠他 文春新書)

軍事の専門家なのにアニメオタクでもある小泉悠・高橋杉雄らがゴジラやガンダム、エヴァ、宮崎駿作品、佐藤大輔の著作などについて語り合った対談の収録。高橋杉雄さんの肩書は、防衛研究所防衛政策研究所長。そんな人が?と思うくらい、濃いめのキャラ全開でアニメなどの蘊蓄を語る。
対談者は、私より、ちょっと年下の人が多いのだけど、俎上に上っているのは、ゴジラ、ヤマト、ガンダム、エヴァ、宮崎駿作品(アニメは少なくて、自ら作画した作品(「雑草ノート」など)の方の話題が多い)などで、同時代性に共有性は高い。

対談者の一人はドイツ人の方で、ドイツとかではアニメって子ども向けで、いい大人がアニメにハマっているのは滑稽だ、という、昔の日本みたいな考え方がいまだに主流だというのは(言われてみれば当然だが)意外感があった。
本作の中でも言及されているが、ヤマトやガンダムの新作アニメを映画館に見に行くと、観客の平均年齢がかなり高め(エヴァはそうでもないらしい)らしくて、確かに、昔は「いい大人がアニメなんて」という世間があったものだが、今ではオジサン(あるいはオジイサン)がアニメファンであっても大きな違和感はない。というか、本書でも触れられているが、ヤマトやガンダムの新作映画の観衆の多くはオジサン(あるいはオジイサン)のような気がする。でも、いつもまでもそんなムードが続くとは限らなくて、そんな時代に生きることができて幸福だった、というべきかもしれない。

ガンダムやエヴァの初回テレビシリーズ放映、宮崎駿作「雑想ノート」「泥まみれの虎」などのムックやナウシカの原作マンガ、佐藤大輔のシミュレーション小説、などは、若いファンはご存知なものなのだろうか。著者たちや私と同年代のファンも老境に差し掛かりつつあって、私達の年代に共有された幻想を思い出させてくれて、大変に楽しく読めた。

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