道(白石一文 小学館)
唐沢功一郎の妻:渚は、娘の美雨が交通事故で亡くなった後、鬱病になり自殺をはかる。その後、妹の碧が同居して治療を続けたが回復せず、二度目の自殺を試みる。功一郎はかねてから考えていたある秘策を実行することにする・・・という話。
著者の作品は、過去1作しか読んだことがないが、人生の意味を問うような純文学に近い作風なのかな、というイメージがあった。
しかし、本作はSF的要素を本格的にとりいれ、主人公の功一郎は頭脳明晰で二枚目で仕事ができて社長のお気に入りでもちろんモテる、という島耕作みたいな設定にして、スイスイ読み進めるテンポのよさがあって、エンタメとしてよくできていると思えた。
功一郎は食品の品質管理のエキスパートなのだが、冒頭からいきなり製品への異物混入事件の顛末を細かく描写し、「これは一体なんの話なの?」と読者に興味を抱かせるツカミが、うまいなあ、と思わせた。
この最初の10ページくらいを書店で立ち読みしただけで、続きを読みたくて仕方なくなってしまった。
実際、功一郎の職業が何であっても、本作の筋立てとはほとんど関係ないのだが、品質管理というあまり馴染みがない仕事の内容を詳述することで、現実離れしたストーリー展開をリアルな世界につなぎとめる効果があったように思えた。
唐沢功一郎の妻:渚は、娘の美雨が交通事故で亡くなった後、鬱病になり自殺をはかる。その後、妹の碧が同居して治療を続けたが回復せず、二度目の自殺を試みる。功一郎はかねてから考えていたある秘策を実行することにする・・・という話。
著者の作品は、過去1作しか読んだことがないが、人生の意味を問うような純文学に近い作風なのかな、というイメージがあった。
しかし、本作はSF的要素を本格的にとりいれ、主人公の功一郎は頭脳明晰で二枚目で仕事ができて社長のお気に入りでもちろんモテる、という島耕作みたいな設定にして、スイスイ読み進めるテンポのよさがあって、エンタメとしてよくできていると思えた。
功一郎は食品の品質管理のエキスパートなのだが、冒頭からいきなり製品への異物混入事件の顛末を細かく描写し、「これは一体なんの話なの?」と読者に興味を抱かせるツカミが、うまいなあ、と思わせた。
この最初の10ページくらいを書店で立ち読みしただけで、続きを読みたくて仕方なくなってしまった。
実際、功一郎の職業が何であっても、本作の筋立てとはほとんど関係ないのだが、品質管理というあまり馴染みがない仕事の内容を詳述することで、現実離れしたストーリー展開をリアルな世界につなぎとめる効果があったように思えた。