空を眺める。
久しぶりの空に出会った気がする。
お元気?
今どうしているの?
すっかり秋の空の気配。
お彼岸を過ぎれば、今までの暑さは夢だったみたいに
気がつくと、落ち着いた気温になっていた。
夕焼けに染まった雲たちを従えて
空は高く、大きく静かな風情で堂々としている。
つるべ落としのように夕闇が迫る。
オーヘンリーの『最後のひと葉』を思わせるプラタナスの葉。
落ちないで、落ちないでね…病人はこの葉っぱのおかげで
元気づけられ、頑張る気持ちを取り戻した。
その陰で、一生懸命の心遣いがあったことなど、病人は知りはしない。
知っていたら、これはまた大変なんだけれど…。
秋は実りの時期でもある。
感傷的になることは無いのに、やはり寂しさを纏ってしまう。
少女のころは感傷的になる気分を味わいながら、おとなになった錯覚をした。
今は、やがて来る冬の気配、厳しさをを感じ取ってしまうのだ。
10月の初めなのに、まだ彼岸花が見られる。
ここのは遅い時期に咲くような種類だろうか?
この近所の彼岸花はもう茎だけになっているのに。
遅咲きもあるのだ。細い蕊が花の周りを取り囲み、繊細な華を演じて見せる。
こんな弱弱しさを感じさせる華こそ、
なるべく遅くまで楽しませて欲しいと思うのはエゴだろうか。