大野病院の件で、原告側は控訴を断念し主治医の無罪が確定しました。
おめでとうございます。
アメリカの弁護士数は約90万人で、日本の弁護士数が約2万人ですから、その数は日本の45倍です。医師数が75万人ですから医者よりも多いわけです。約90万人ということは人口が2億8千万人とすれば約310人に1人が弁護士ということになります。アメリカでは、司法試験の合格率は90%以上で、310人に1人が弁護士になれる割に初任給が約1,000万円ですから、大学進学者は、一度は弁護士を夢見るといっても過言ではありません。
アメリカにはこんな論文があります。
Journal of American Medical Association. 2005;294:1688.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)
Who Will Deliver Our Grandchildren?
米国では76%の産科医が訴訟を経験しており、その大部分は新生児に脳性麻痺を来したとの申し立てであったそうです。この傾向はオーストラリアでも同様で、医師全体の2%でしかない産科医で、医療訴訟の申し立て賠償額の18%を占めています。米国での新生児に関する賠償額の平均は2億8,000万円で、米国の産科医のうち15%が医療訴訟を理由に廃業し、22%が開業規模を縮小しました。最近では、最高年額2,000万円の医療訴訟保険の掛け金を支払う産科医も出現しはじめました。
アメリカの産科医の年収は約3,000万円(NEWSWEEK 2000 Sep 25)ですから、訴訟のためにそのうちの3分の2を使うことになっているのです。
電子的な胎児モニタリングが確立した前後で、脳性麻痺の発生率がいずれも500例に1回と変わっていないことを根拠に、著者は「脳性麻痺の原因は医師の過誤であるという考えは、おもに間違った仮説と時代遅れの科学に基づいている」と主張すると同時に、「出産はかつてないほど安全になっているが、産科医であることはかつてないほど危険になっている」と言っています。
論文のタイトルどおり「だれが孫を取り上げてくれるのか?」という問題を解決するために、以下の事項をあげています。
1,研究者が脳性麻痺発生の原因を明確にする。
2,医学知識を持つ裁判官の養成を進める。
3,政府が小児麻痺に対して社会的補償をする。
4,新生児に脳障害の兆候が見られれば、病院はいつでも調査を行い、親の相談に応じる体制を作る。
5,先天異常の中には避けられないものがあり、医学の進歩にかかわらず、米国では新生児の0.7%が生後まもなく死亡し、3%に重大な異常が認められ、0.2%が脳性麻痺を発症することを伝えるキャンペーンを行う。
日本でも弁護士の数を増やす政策がとられていますが、本来改革が必要な刑事訴訟が利益にならないからと、民事訴訟がターゲットになるのは目に見えています。著者が今回示した解決策はどれも示唆に富んだものであり、日本も是非参考にするべきだと思います。産科医や小児科医が減少しているからと、政府は産科と小児科の診療報酬を数%だけ上げ、それを努力の証としている場合ではないのです。
日本でも「だれが孫を取り上げてくれるのか?」「だれが子供を診てくれるのか?」とならないよう祈りたいと思います。
今は何位かな?
↓
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アメリカの弁護士数は約90万人で、日本の弁護士数が約2万人ですから、その数は日本の45倍です。医師数が75万人ですから医者よりも多いわけです。約90万人ということは人口が2億8千万人とすれば約310人に1人が弁護士ということになります。アメリカでは、司法試験の合格率は90%以上で、310人に1人が弁護士になれる割に初任給が約1,000万円ですから、大学進学者は、一度は弁護士を夢見るといっても過言ではありません。
アメリカにはこんな論文があります。
Journal of American Medical Association. 2005;294:1688.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)
Who Will Deliver Our Grandchildren?
米国では76%の産科医が訴訟を経験しており、その大部分は新生児に脳性麻痺を来したとの申し立てであったそうです。この傾向はオーストラリアでも同様で、医師全体の2%でしかない産科医で、医療訴訟の申し立て賠償額の18%を占めています。米国での新生児に関する賠償額の平均は2億8,000万円で、米国の産科医のうち15%が医療訴訟を理由に廃業し、22%が開業規模を縮小しました。最近では、最高年額2,000万円の医療訴訟保険の掛け金を支払う産科医も出現しはじめました。
アメリカの産科医の年収は約3,000万円(NEWSWEEK 2000 Sep 25)ですから、訴訟のためにそのうちの3分の2を使うことになっているのです。
電子的な胎児モニタリングが確立した前後で、脳性麻痺の発生率がいずれも500例に1回と変わっていないことを根拠に、著者は「脳性麻痺の原因は医師の過誤であるという考えは、おもに間違った仮説と時代遅れの科学に基づいている」と主張すると同時に、「出産はかつてないほど安全になっているが、産科医であることはかつてないほど危険になっている」と言っています。
論文のタイトルどおり「だれが孫を取り上げてくれるのか?」という問題を解決するために、以下の事項をあげています。
1,研究者が脳性麻痺発生の原因を明確にする。
2,医学知識を持つ裁判官の養成を進める。
3,政府が小児麻痺に対して社会的補償をする。
4,新生児に脳障害の兆候が見られれば、病院はいつでも調査を行い、親の相談に応じる体制を作る。
5,先天異常の中には避けられないものがあり、医学の進歩にかかわらず、米国では新生児の0.7%が生後まもなく死亡し、3%に重大な異常が認められ、0.2%が脳性麻痺を発症することを伝えるキャンペーンを行う。
日本でも弁護士の数を増やす政策がとられていますが、本来改革が必要な刑事訴訟が利益にならないからと、民事訴訟がターゲットになるのは目に見えています。著者が今回示した解決策はどれも示唆に富んだものであり、日本も是非参考にするべきだと思います。産科医や小児科医が減少しているからと、政府は産科と小児科の診療報酬を数%だけ上げ、それを努力の証としている場合ではないのです。
日本でも「だれが孫を取り上げてくれるのか?」「だれが子供を診てくれるのか?」とならないよう祈りたいと思います。
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