以前、16型/18型ヒトパピローマウイルスワクチンで子宮頸ガンが予防できるをお伝えしましたら、
「子宮頸癌を予防するかどうかのテストもしていないワクチンは、製薬業者のボロ儲け目当ての詐欺兼薬害です」とのコメントをいただきましたので、少し調べてみました。
通常、ヒトパピローマウイルの感染から前がん病変の進行まで数年、前ガン病変から子宮頸ガン発症までは十数年という年月がかかりますから、ワクチンの接種群と非接種群で子宮頸ガンの発症に違いがあるかを比較することには十数年かかります。
それに、そういった研究の遂行には、ガンになるまで何の処置も受けずに放置することへの倫理的問題があります。
そこで、2003年にWHOは専門家とオピニオン・リーダー(各国の政府省庁関係者)にヒトパピローマウイルスワクチンの有効性を評価するための代替評価項目のコンセンサスを求めました。
その結果、
(1)中等度以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)を子宮頸ガンの主要な代替評価項目にすべきということ
(2)発がん性ヒトパピローマウイルスの同型への持続感染(6ヵ月か12ヵ月)も前がん病変と子宮頸ガン発症の重要なリスクファクターであること
というコンセンサスが
Efficacy and other milestones for human papillomavirus vaccine introduction.
Vaccine 2004;23:569.
で発表されています。確かに倫理的問題によりワクチンがガンの発症を抑制するかの直接的な研究結果はありませんが、ゼチーアのように「効果がない」という研究結果はありません。
また、日本人の場合16型/18型のヒトパピローマウイルス感染率は高くないいう意見もありましたが、最近の日本の女性2,282人の調査で16型/18型ヒトパピローマウイルスの感染は子宮頚ガンの67%で原因となっていたという結果が報告されています。
Human papillomavirus infections among Japanese women: age-related prevalence and type-specific risk for cervical cancer.
Cancer Science 2009;100:1312.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)
安全性はA型肝炎ワクチンと同じです。ワクチンには100%安全ということはありませんが、インフルエンザワクチンの副作用による死亡率でお伝えしたように、ワクチン接種は「接種による有益性」と「副作用」を天秤にかけて考慮されるべきものです。
「ワクチンの副作用で10人が死亡したから全体への接種を中止したら、接種していれば防ぐことができた死亡が100人増えてしまった」場合、ワクチンは有効と考えるべきです。
要するに、「作為で10人死亡するのは許せないが、不作為で100人死亡するのは許せる」のが真か偽かということです。これは以前ご紹介した、「ハーバード白熱教室」の第1回目の講義でも取り上げられている課題です。
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通常、ヒトパピローマウイルの感染から前がん病変の進行まで数年、前ガン病変から子宮頸ガン発症までは十数年という年月がかかりますから、ワクチンの接種群と非接種群で子宮頸ガンの発症に違いがあるかを比較することには十数年かかります。
それに、そういった研究の遂行には、ガンになるまで何の処置も受けずに放置することへの倫理的問題があります。
そこで、2003年にWHOは専門家とオピニオン・リーダー(各国の政府省庁関係者)にヒトパピローマウイルスワクチンの有効性を評価するための代替評価項目のコンセンサスを求めました。
その結果、
(1)中等度以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)を子宮頸ガンの主要な代替評価項目にすべきということ
(2)発がん性ヒトパピローマウイルスの同型への持続感染(6ヵ月か12ヵ月)も前がん病変と子宮頸ガン発症の重要なリスクファクターであること
というコンセンサスが
Efficacy and other milestones for human papillomavirus vaccine introduction.
Vaccine 2004;23:569.
で発表されています。確かに倫理的問題によりワクチンがガンの発症を抑制するかの直接的な研究結果はありませんが、ゼチーアのように「効果がない」という研究結果はありません。
また、日本人の場合16型/18型のヒトパピローマウイルス感染率は高くないいう意見もありましたが、最近の日本の女性2,282人の調査で16型/18型ヒトパピローマウイルスの感染は子宮頚ガンの67%で原因となっていたという結果が報告されています。
Human papillomavirus infections among Japanese women: age-related prevalence and type-specific risk for cervical cancer.
Cancer Science 2009;100:1312.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)
安全性はA型肝炎ワクチンと同じです。ワクチンには100%安全ということはありませんが、インフルエンザワクチンの副作用による死亡率でお伝えしたように、ワクチン接種は「接種による有益性」と「副作用」を天秤にかけて考慮されるべきものです。
「ワクチンの副作用で10人が死亡したから全体への接種を中止したら、接種していれば防ぐことができた死亡が100人増えてしまった」場合、ワクチンは有効と考えるべきです。
要するに、「作為で10人死亡するのは許せないが、不作為で100人死亡するのは許せる」のが真か偽かということです。これは以前ご紹介した、「ハーバード白熱教室」の第1回目の講義でも取り上げられている課題です。
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