医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

マルチビタミンとビタミンEは風邪・気管支炎・肺炎を悪化させる

2005年11月07日 | 生活習慣病
再び驚くべき報告です。Journal of American Medical Association. 2002;288:715.からです。(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★☆)1998年から2000年にかけて、栄養状態が正常な60歳以上の高齢者652人が通常量のマルチビタミンサプリメント群、ビタミンEサプリメント200mg群、非内服群に分けられ、看護師の訪問や電話、血液検査、喀痰検査で風邪や気管支炎や肺炎の気道感染症の発症が平均441日調査されました。これは二重盲検、無作為化試験です。

期間中、のべ1024回の気道感染症が認められました。マルチビタミンサプリメント群での気道感染症の発症率は非内服群と比較して0.95倍(P=0.58)、ビタミンE群では1.12倍(P=0.21)と違いはみられませんでした。(この場合1.12倍でも違いがないといえるのは、厳密な統計学的検討がなされているからです。例えば、2つのサイコロをそれぞれ60回振って、Aのサイコロは1の目がでたのが11回、Bのサイコロは1の目がでたのが10回だった場合、これだけの事だけからAのサイコロは1が出やすいと言えないのと同じです。)

気道感染症の程度に関しては、マルチビタミンサプリメント群では違いがありませんでしたが、ビタミンE群では罹患期間が19日対14日(P=0.02)、症状の数が6対4(P =0.03)、発熱の頻度が36.7%対25.2%(P =0.009)、日常生活の制限が52.3%対41.1%(P =0.02)と有意に重症化していました。

マルチビタミンサプリメントもビタミンEも栄養状態良好な60 歳以上の高齢者の気道感染症の改善に有用でなく、ビタミンEは有害であると結論づけられています。

ポチッとクリックお願いします
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ビタミンEは動脈硬化性心臓... | トップ | 薬局の請求書の不思議 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

生活習慣病」カテゴリの最新記事