医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

国民は新型インフルエンザワクチンの在庫整理要員

2010年06月30日 | 感染症
先日、日本臨床内科医会から送られてきた患者への啓蒙活動用のポスターです。提供:グラクソ・スミスクライン株式会社だそうです。

私は、どうして今になってこんなポスターが送られてきたのか不思議でした。

「新型インフルエンザワクチンを接種したひとは約20%(2,400万人)で、国民の80%はまだ接種していないのが現状です。ワクチンを接種することであなた自身だけでなく、ご家族や友人など、周りの方に対しても新型インフルエンザの感染を防ぐことにつながります。」と書いてあります。

以前、お伝えしたように

基礎疾患のない子供はほとんど重症化しない。
学童の20%に不顕性感染(感染しても症状がなく、免疫を獲得した)が認められている。


40歳以上の者の新型インフルエンザの感染確率は驚くほど低い。
インフルエンザに罹患することは、罪悪ではない。むしろ次の感染を防ぐ。


のに、それでもなぜ新型インフルエンザワクチンを接種しなければいけないのでしょうか?理由がよくわかりません。そういえば、このポスターには「新型インフルエンザの感染を防ぐことにつながります」と書いてあるけれど、「有益である」とは書かれていません。うまくごまかしたものです。でも、ワクチンを接種してもインフルエンザにかかる人は沢山いますから(インフルエンザワクチンの小児への有効率は20~30%)、「新型インフルエンザの感染を防ぐことにつながります」というもの半分ウソです。

グラクソ・スミスクライン株式会社は、このように国民を騙すようなことをしてはいけません。そして日本臨床内科医会もそれを後押ししてはいけません。

しかし、逆に国民の20%しか接種していないということは、国民の判断が正しいということであり、頼もしく感じました。(新型インフルエンザワクチンに限ったことです。高齢者に肺炎などを併発させるこれまでのインフルエンザのワクチンは、高齢者はなるべく多くの人が接種したほうがいいです)

そういえば、最近こんな報道がありました。

輸入ワクチン853億円「無駄」に=ノバルティス社製も一部解約―新型インフル用
厚生労働省は6月28日、ノバルティス社(スイス)と輸入契約を結んだ新型インフルエンザ用ワクチン2500万回分のうち、未納入の約838万回分(約107億円)を解約することで同社と合意した。ただし既に製品化されているため、違約金約92億円を同社に支払う。使われる見込みがなく、余剰となった輸入ワクチンへの支出額は、英グラクソ・スミスクライン社(GSK)製と合わせ約853億円となる。

ノバルティス社製ワクチンは、約1660万回分(約214億円)が納入済みだが、実際に使われたのは2465回分。すべて30日までに使用期限を迎えるため、同省は廃棄を決める一方、未納入の分について解約交渉を進めていた。

輸入ワクチンをめぐっては、GSKとも交渉したが、5032万回分(約547億円)は解約できなかった。同社製ワクチンもほとんど使用されておらず、今後需要が増す見込みも少ないとみられることから、両社に支払った計約853億円は結果的に「無駄」になる。
(時事通信より引用)

それで私は、この時期にこのポスターが突然送られてきた理由がわかりました。

厚生労働省が日本臨床内科医会にこのようにしろと通達を出して、グラクソ・スミスクライン株式会社がそれに一役買ったわけですね。


グラクソ・スミスクライン株式会社(厚生労働省も?)は、国民を新型インフルエンザワクチンの在庫整理要員としか見ていないようです。

一部の製薬会社は、儲けるためなら平気で国民をだましますから注意が必要です。

今回の場合はむしろ厚生労働省の過失のほうが大きいかな。


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