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メタボリックシンドロームの腹囲は糖尿病患者では動脈硬化性心疾患の予測因子にはならない

2006年07月16日 | 生活習慣病
最近、皆さんもメタボリックシンドロームという言葉をテレビなどのメディアを通して耳にすることが多くなってきたと思います。もともとは1999年に世界保険機構(WHO)により提唱された概念で、動脈硬化に悪影響を及ぼす要素をまとめて1つのシンドロームとしたものです。ここでは、糖尿病という事はすでにそれだけで独立した動脈硬化の危険因子なので、診断基準から除外されています。

メタボリックシンドロームの診断基準は(日本の基準)
ウエストが男性では85cm以上、女性では90cm以上、を満たし

1、収縮期血圧が130mmHg以上、あるいは拡張期血圧が85mmHg以上
2、中性脂肪が150mg/dl以上あるいは、善玉のコレステロールであるHDLコレステロールが40mg/dl以下
3、空腹時血糖110mg/dl以上

3項目のうち2項目を満たすものです。

さて、日本では糖尿病の患者さん2,000以上を対象とした大規模臨床試験Japan Dibetes Complications Study(JDCS)が10年前から開始されており、日本の糖尿病の患者さんのさまざまなデータが集められています。

そこで、それら2,000以上のデータの中で、メタボリックシンドロームの診断基準にあてはまる患者さんと診断基準にあてはまらない患者さんを比較して診断基準に当てはまる方が実際に動脈硬化性の心疾患(心筋梗塞など)の危険が高いのかが調査されました。

その結果、女性では診断基準に当てはまる方が動脈硬化性の心疾患の危険が高かったのですが、男性では両者の差は認められませんでした。つまり男性の糖尿病の患者さんにとってはメタボリックシンドロームの診断基準は無用であるという事がわかりました。

むしろ「中性脂肪が150mg/dl以上」または「HDLコレステロールが40mg/dl以下」という基準を単独で用いる方が動脈硬化性の心疾患の危険を予測する有用な因子になったのです。つまり男性では「ウエストが85cm以上」という診断基準が逆にリスクの予測精度を下げてしまっていたのです。

将来、日本のメタボリックシンドロームの診断基準はかならず改正されると思います。

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