学会で発表するために米国オーランドに来ています。「Science & Technology」↑いい響きですねぇ。
ところで皆さんは、先日以下の報道があったのを覚えていますか?
病気腎移植:宇和島徳洲会病院が先進医療に申請
徳洲会グループの宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)などは10月31日、治療のため摘出した腎臓を修復して別の患者に移植する第三者間病気腎(修復腎)移植について、医療保険が一部に適用される「先進医療」として厚生労働省に申請した。会見した同グループの能宗(のうそう)克行事務総長は「修復腎を使えば、救える患者は増える。今後、(全額)保険医療になることを期待している」と述べた。同グループによると、1例400万~500万円(これまでは全額病院側負担)の移植費用が、先進医療に承認されれば、患者負担は約80万円で済むという。同病院は09年12月、慢性的なドナー不足の解消を目指して臨床研究として病気腎移植の1例目を実施し、これまでに第三者間で9例を重ねてきた。先進医療申請は今夏を予定していたが、今年6月に発覚し東京の医師らが逮捕された臓器売買事件で同病院が舞台になったこともあり、申請が遅れていた。会見には移植を受けた宇和島市の主婦、田中早苗さん(64)も出席し、「手術後は一般の人と同じ生活を送れてうれしい。苦しんでいる多くの人が助かってほしい」と訴えた。病気腎移植については、日本移植学会が、移植する腎臓のがん再発について長期的な安全性が確立されていない、などと批判している。
(毎日新聞より引用)
病気腎移植を先進医療に申請 徳洲会「保険適用に」
医療法人「徳洲会」(本部・東京)は10月31日、腎臓がん患者から摘出した腎臓を修復して別の患者に移植する第三者間の病気腎移植について、治療の一部に保険が適用される先進医療として認めるよう、厚生労働省に申請した。徳洲会によると、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)では2009年12月以降、万波誠医師らの執刀で、国の指針に基づく臨床研究として、親族間でない第三者間の病気腎移植を9例実施。いずれの患者でも、がんの転移は確認されていないという。同会の能宗克行事務総長は「この移植で生活の質が大きく改善し、通常とほとんど変わりなく暮らせるようになった方がいる。一刻も早く保険適用にこぎつけたい」と話した。
(朝日新聞より引用)
私も以前、厚生労働省に先進医療申請をしたことがあるのですが(以前は高度先進医療と称されていました)、なぜそれが先進医療に適するのかという根拠から、価格の設定のために人件費、薬剤費、電気代等、徹底的に調べないといけないなど、とても面倒です。面倒なのは別に構わないのですが、最終的に書類は国会議員が代表を務める個別の委員会にかけられ、その是非が審議されます。ハードルは高いです。
そこで感じるのは、はたして本当に現時点で病気腎移植が、先進医療として認められるのだろうかということです。
病気腎移植は現在、安全性と有効性が臨床研究で調査中のはずです。まだ安全性と有効性が証明されていない段階で(真実性)、先進医療の申請をしているのは、認可されないと知りつつ申請している「確信犯」的「売名行為」ではないかと感じるのです。これは国民の利益・不利益にかかわることなので、とても重要なことです(公共性、公益性)。
朝日新聞の記事を毎日新聞の記事と比べてみると、無作為の前向き試験で安全性や有効性が明らかになっていないのに、「この移植で生活の質が大きく改善し、通常とほとんど変わりなく暮らせるようになった方がいる。一刻も早く保険適用にこぎつけたい」と、まるで、まだ「保険適応」になっていないのが悪いかのような印象を読者が持つように誘導されています。
その点毎日新聞は、「日本移植学会が、移植する腎臓のがん再発について長期的な安全性が確立されていない、などと批判している。」と数行、反対意見を加えていますが、それでも読者の受ける印象は朝日新聞と同じです。
先進医療と認められることはそれほど易しい事ではありません。この過程は私自身も経験している事です。病気腎移植は今の段階では決して「Science & Technology」に値することではありません。こういうことは、認可された時点で報道するべきことです。
また、却下されたら、「徳洲会、病気腎移植、先進医療申請は却下される。未だ安全性と有効性が不明」と必ずそれを記事にする必要があります。
新聞報道というのは、当たり前のことですが、「仮説」だけというか「私的意見」だけというか、私が今置かれている環境(アメリカの学会に参加してScienceにドップリ漬かっている環境)からみれば、まったく「Science & Technology」でもない、「言った者勝ち」の「稚拙」な世界だと感じます。
繰り返しますが、マスゴミの皆さん、こういう大々的な報道は、先進医療を認可された段階で行ってください。申請をしただけの段階では2~3行の記事でいいです。こういうことは医学論文でいうと、「仮説」を書いたイントロダクションだけで10ページぐらいあるようなもので、論文の審査員から笑われてしまいますよ。
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ところで皆さんは、先日以下の報道があったのを覚えていますか?
病気腎移植:宇和島徳洲会病院が先進医療に申請
徳洲会グループの宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)などは10月31日、治療のため摘出した腎臓を修復して別の患者に移植する第三者間病気腎(修復腎)移植について、医療保険が一部に適用される「先進医療」として厚生労働省に申請した。会見した同グループの能宗(のうそう)克行事務総長は「修復腎を使えば、救える患者は増える。今後、(全額)保険医療になることを期待している」と述べた。同グループによると、1例400万~500万円(これまでは全額病院側負担)の移植費用が、先進医療に承認されれば、患者負担は約80万円で済むという。同病院は09年12月、慢性的なドナー不足の解消を目指して臨床研究として病気腎移植の1例目を実施し、これまでに第三者間で9例を重ねてきた。先進医療申請は今夏を予定していたが、今年6月に発覚し東京の医師らが逮捕された臓器売買事件で同病院が舞台になったこともあり、申請が遅れていた。会見には移植を受けた宇和島市の主婦、田中早苗さん(64)も出席し、「手術後は一般の人と同じ生活を送れてうれしい。苦しんでいる多くの人が助かってほしい」と訴えた。病気腎移植については、日本移植学会が、移植する腎臓のがん再発について長期的な安全性が確立されていない、などと批判している。
(毎日新聞より引用)
病気腎移植を先進医療に申請 徳洲会「保険適用に」
医療法人「徳洲会」(本部・東京)は10月31日、腎臓がん患者から摘出した腎臓を修復して別の患者に移植する第三者間の病気腎移植について、治療の一部に保険が適用される先進医療として認めるよう、厚生労働省に申請した。徳洲会によると、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)では2009年12月以降、万波誠医師らの執刀で、国の指針に基づく臨床研究として、親族間でない第三者間の病気腎移植を9例実施。いずれの患者でも、がんの転移は確認されていないという。同会の能宗克行事務総長は「この移植で生活の質が大きく改善し、通常とほとんど変わりなく暮らせるようになった方がいる。一刻も早く保険適用にこぎつけたい」と話した。
(朝日新聞より引用)
私も以前、厚生労働省に先進医療申請をしたことがあるのですが(以前は高度先進医療と称されていました)、なぜそれが先進医療に適するのかという根拠から、価格の設定のために人件費、薬剤費、電気代等、徹底的に調べないといけないなど、とても面倒です。面倒なのは別に構わないのですが、最終的に書類は国会議員が代表を務める個別の委員会にかけられ、その是非が審議されます。ハードルは高いです。
そこで感じるのは、はたして本当に現時点で病気腎移植が、先進医療として認められるのだろうかということです。
病気腎移植は現在、安全性と有効性が臨床研究で調査中のはずです。まだ安全性と有効性が証明されていない段階で(真実性)、先進医療の申請をしているのは、認可されないと知りつつ申請している「確信犯」的「売名行為」ではないかと感じるのです。これは国民の利益・不利益にかかわることなので、とても重要なことです(公共性、公益性)。
朝日新聞の記事を毎日新聞の記事と比べてみると、無作為の前向き試験で安全性や有効性が明らかになっていないのに、「この移植で生活の質が大きく改善し、通常とほとんど変わりなく暮らせるようになった方がいる。一刻も早く保険適用にこぎつけたい」と、まるで、まだ「保険適応」になっていないのが悪いかのような印象を読者が持つように誘導されています。
その点毎日新聞は、「日本移植学会が、移植する腎臓のがん再発について長期的な安全性が確立されていない、などと批判している。」と数行、反対意見を加えていますが、それでも読者の受ける印象は朝日新聞と同じです。
先進医療と認められることはそれほど易しい事ではありません。この過程は私自身も経験している事です。病気腎移植は今の段階では決して「Science & Technology」に値することではありません。こういうことは、認可された時点で報道するべきことです。
また、却下されたら、「徳洲会、病気腎移植、先進医療申請は却下される。未だ安全性と有効性が不明」と必ずそれを記事にする必要があります。
新聞報道というのは、当たり前のことですが、「仮説」だけというか「私的意見」だけというか、私が今置かれている環境(アメリカの学会に参加してScienceにドップリ漬かっている環境)からみれば、まったく「Science & Technology」でもない、「言った者勝ち」の「稚拙」な世界だと感じます。
繰り返しますが、マスゴミの皆さん、こういう大々的な報道は、先進医療を認可された段階で行ってください。申請をしただけの段階では2~3行の記事でいいです。こういうことは医学論文でいうと、「仮説」を書いたイントロダクションだけで10ページぐらいあるようなもので、論文の審査員から笑われてしまいますよ。
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金になるという 王様がいらしたようです
取り上げるものは 全て塵ばかりというのも
ある意味ひとつの 才能かもしれませんね
記者になられる方々は いわゆるエリートだそうですから
俺様 王様で ご自分の姿をご存知ないのでしょうね
哀れなことです