2年前、学会発表を見て十数秒間表示されるスライドを急いでノートに書き写しご紹介した研究「悪玉コレステロール低下薬を内服していれば悪玉コレステロールは160mg/dlでも大丈夫」をお伝えしました。
今年、その研究が論文になって公表されましたので、ご紹介します。私が急いで写したグラフは論文で発表されたグラフと結構あっていました。そんなことはどうでもいいのですが・・
Long-term event monitoring study of fluvastatin in Japanese patients with hypercholesterolemia: Efficacy and incidence of cardiac and other events in elderly patients (≥65 years old)
J Cardiol 2011;57:77
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★★★★★)
この研究はレムスタディーといって、研究開始前4週間は悪玉コレステロール低下薬を内服していない脂質異常症の患者18,084人(平均の悪玉コレステロール値は173 mg/dl)を対象にして、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を投与して、これまでに動脈硬化性心臓病にかかっていない患者(一次予防)は5年間、かかったことのある患者は3年間観察したものです。
致死性心筋梗塞、非致死性心筋梗塞、心臓突然死、画像で診断された狭心症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作の合計が調査されました。期間中368人がこれらの疾患を発症しました。
結果は、上の左図にあるように、これまで動脈硬化疾患を発症したことのない人が最初の動脈硬化疾患を予防するとき(これを一次予防といいます)、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」で推奨されている悪玉コレステロール140mg/dl以下になった人に比較して180mg/dl未満までは動脈硬化疾患のリスクは増えませんでした。
同様に、上の右図にあるように、これまで動脈硬化疾患を発症したことがある患者が次の動脈硬化疾患を予防するとき(これを二次予防といいます)、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」で推奨されている悪玉コレステロール100mg/dl以下になった人と比較して180mg/dl未満までは動脈硬化疾患のリスクは増えませんでした。
ただし、重要な前提は、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を内服している場合の結果であるということです。内服していない場合の180mg/dl未満は今回は調査されていません。逆に、特に一次予防の人に顕著に表れているのですが、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を内服してさえいれば、その後の悪玉コレステロール値が180mg/dl以上でなければどんな値であろうと、動脈硬化疾患のリスクは増えていないということです。これは悪玉コレステロール低下薬が、悪玉コレステロールを低下させる作用だけでなく、炎症を抑えたり血液の固まりやすさを緩和させたりする作用(多面的作用と呼ばれています)があるからと考えられます。
これらの結果は、悪玉コレステロールは特に二次予防では強力なスタチンを使ってなるべく下げた方がよいと主張している一部の製薬会社と、その宣伝塔となっている医者たちにとって大変不都合なデータであり、医者自らが医学雑誌で探さなければ、ほとんど表に出でこないデータです。
そのためなのか、2万人近くを3~5年調査した(研究対象人数★★★★★)大変貴重で素晴らしい研究なのに、インパクトファクターが低い(1.175)医学雑誌にしか掲載されませんでした。これは邪推ですが、もっとインパクトファクターが高い医学雑誌の審査員の中に、宣伝塔となっている医者たちがいたのかもしれません。
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今年、その研究が論文になって公表されましたので、ご紹介します。私が急いで写したグラフは論文で発表されたグラフと結構あっていました。そんなことはどうでもいいのですが・・
Long-term event monitoring study of fluvastatin in Japanese patients with hypercholesterolemia: Efficacy and incidence of cardiac and other events in elderly patients (≥65 years old)
J Cardiol 2011;57:77
(インパクトファクター★☆☆☆☆、研究対象人数★★★★★)
この研究はレムスタディーといって、研究開始前4週間は悪玉コレステロール低下薬を内服していない脂質異常症の患者18,084人(平均の悪玉コレステロール値は173 mg/dl)を対象にして、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を投与して、これまでに動脈硬化性心臓病にかかっていない患者(一次予防)は5年間、かかったことのある患者は3年間観察したものです。
致死性心筋梗塞、非致死性心筋梗塞、心臓突然死、画像で診断された狭心症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作の合計が調査されました。期間中368人がこれらの疾患を発症しました。
結果は、上の左図にあるように、これまで動脈硬化疾患を発症したことのない人が最初の動脈硬化疾患を予防するとき(これを一次予防といいます)、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」で推奨されている悪玉コレステロール140mg/dl以下になった人に比較して180mg/dl未満までは動脈硬化疾患のリスクは増えませんでした。
同様に、上の右図にあるように、これまで動脈硬化疾患を発症したことがある患者が次の動脈硬化疾患を予防するとき(これを二次予防といいます)、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」で推奨されている悪玉コレステロール100mg/dl以下になった人と比較して180mg/dl未満までは動脈硬化疾患のリスクは増えませんでした。
ただし、重要な前提は、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を内服している場合の結果であるということです。内服していない場合の180mg/dl未満は今回は調査されていません。逆に、特に一次予防の人に顕著に表れているのですが、ローコールという悪玉コレステロール低下薬を内服してさえいれば、その後の悪玉コレステロール値が180mg/dl以上でなければどんな値であろうと、動脈硬化疾患のリスクは増えていないということです。これは悪玉コレステロール低下薬が、悪玉コレステロールを低下させる作用だけでなく、炎症を抑えたり血液の固まりやすさを緩和させたりする作用(多面的作用と呼ばれています)があるからと考えられます。
これらの結果は、悪玉コレステロールは特に二次予防では強力なスタチンを使ってなるべく下げた方がよいと主張している一部の製薬会社と、その宣伝塔となっている医者たちにとって大変不都合なデータであり、医者自らが医学雑誌で探さなければ、ほとんど表に出でこないデータです。
そのためなのか、2万人近くを3~5年調査した(研究対象人数★★★★★)大変貴重で素晴らしい研究なのに、インパクトファクターが低い(1.175)医学雑誌にしか掲載されませんでした。これは邪推ですが、もっとインパクトファクターが高い医学雑誌の審査員の中に、宣伝塔となっている医者たちがいたのかもしれません。
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