前回、ピロリ菌に感染していると、将来的な胃ガンのリスクが上昇することをお伝えしました。それを前回お伝えしたのは、今回お伝えすることと関連があるからです。
今年のある医学雑誌の3月号(まだ3月ではないですが)に、そのリスクを細分化して知ることができる素晴らしい疫学研究の結果が日本から報告されましたのでお伝えしたいと思います。
Cancer development based on chronic active gastritis and resulting gastric atrophy as assessed by serum levels of pepsinogen and Helicobacter pylori antibody titer.
Yoshida T, Kato J, Inoue I, et al.
Int J Cancer. 2014 Mar 15;134(6):1445-57
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)
和歌山県において、1994年から1995年の間に、症状のない健康な男性4,655人(50±5歳)、論文内ではこんな表現です「Participants were essentially asymptomatic and could be considered representative of healthy middle-aged men in the general population.(male employees of a certain workplace)」のピロリ感染の有無と血液中のペプシノーゲンを調べて、その後16年間(平均11年間)に渡って胃ガンの発症率が調査されました。一定の会社に勤めていればその後の検診が容易だから脱落例が少なくなり研究の信頼性が高まるため、調査対象者をそういう「男性」に絞ったのだと推測できます。
以前に報告されている定義を利用して、ペプシノーゲンⅠが70ng/dl以下かつペプシノーゲンI/II比が3.0以下がペプシノーゲン陽性とされ、対象者はつぎの4群に分けられました。
Group A:ピロリ陰性、かつ、ペプシノーゲン陰性
Group B:ピロリ陽性、かつ、ペプシノーゲン陰性
Group C:ピロリ陽性、かつ、ペプシノーゲン陽性
Group D:ピロリ陰性、かつ、ペプシノーゲン陽性
上から段々と悪くなっています。一見、グループCとグループDが逆のように感じますが、グループDはペプシノーゲン陽性状態が悪すぎてピロリさえ生息できないという意味らしいです。
ペプシノーゲンは胃粘膜から分泌される物質のことで、血液中に含まれています。胃のどの辺りで分泌されるかにより、ペプシノーゲンⅠとⅡに分類されます。血液中のペプシノーゲンのⅡに対するⅠの割合を調べると、胃粘膜の萎縮の広がりとその程度、胃液の分泌機能、胃粘膜の炎症の有無が分かるほか、胃がんのスクリーニング検査として有用であることが明らかとなっています。
結果は、上の右の図に示されているように、
グループAで16年間で1%以下、
グループBで約3%、
グループCで約5%
グループDで約16%でした。
これらの結果を見ると、ピロリ陽性の人は、除菌した方がいいですし、胃カメラをしていなくてもピロリ菌の検査が健康保険でできるようにするのが正しい理論だということがおわかりいただけたと思います。このブログは厚生労働省の方にもご覧いただいていると思います。厚生労働省の皆さん、胃カメラをしていなくてもピロリ菌の検査が健康保険でできるようにして下さい。それにペプシノーゲン検査も保健適応にすることが必要です。
自分の胃ガンのリスクを評価できるようになった、素晴らしい研究でした。
グループBとグループCはさらに細かくリスクが求められているのですが、その結果については次回お伝えします。
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今年のある医学雑誌の3月号(まだ3月ではないですが)に、そのリスクを細分化して知ることができる素晴らしい疫学研究の結果が日本から報告されましたのでお伝えしたいと思います。
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(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)
和歌山県において、1994年から1995年の間に、症状のない健康な男性4,655人(50±5歳)、論文内ではこんな表現です「Participants were essentially asymptomatic and could be considered representative of healthy middle-aged men in the general population.(male employees of a certain workplace)」のピロリ感染の有無と血液中のペプシノーゲンを調べて、その後16年間(平均11年間)に渡って胃ガンの発症率が調査されました。一定の会社に勤めていればその後の検診が容易だから脱落例が少なくなり研究の信頼性が高まるため、調査対象者をそういう「男性」に絞ったのだと推測できます。
以前に報告されている定義を利用して、ペプシノーゲンⅠが70ng/dl以下かつペプシノーゲンI/II比が3.0以下がペプシノーゲン陽性とされ、対象者はつぎの4群に分けられました。
Group A:ピロリ陰性、かつ、ペプシノーゲン陰性
Group B:ピロリ陽性、かつ、ペプシノーゲン陰性
Group C:ピロリ陽性、かつ、ペプシノーゲン陽性
Group D:ピロリ陰性、かつ、ペプシノーゲン陽性
上から段々と悪くなっています。一見、グループCとグループDが逆のように感じますが、グループDはペプシノーゲン陽性状態が悪すぎてピロリさえ生息できないという意味らしいです。
ペプシノーゲンは胃粘膜から分泌される物質のことで、血液中に含まれています。胃のどの辺りで分泌されるかにより、ペプシノーゲンⅠとⅡに分類されます。血液中のペプシノーゲンのⅡに対するⅠの割合を調べると、胃粘膜の萎縮の広がりとその程度、胃液の分泌機能、胃粘膜の炎症の有無が分かるほか、胃がんのスクリーニング検査として有用であることが明らかとなっています。
結果は、上の右の図に示されているように、
グループAで16年間で1%以下、
グループBで約3%、
グループCで約5%
グループDで約16%でした。
これらの結果を見ると、ピロリ陽性の人は、除菌した方がいいですし、胃カメラをしていなくてもピロリ菌の検査が健康保険でできるようにするのが正しい理論だということがおわかりいただけたと思います。このブログは厚生労働省の方にもご覧いただいていると思います。厚生労働省の皆さん、胃カメラをしていなくてもピロリ菌の検査が健康保険でできるようにして下さい。それにペプシノーゲン検査も保健適応にすることが必要です。
自分の胃ガンのリスクを評価できるようになった、素晴らしい研究でした。
グループBとグループCはさらに細かくリスクが求められているのですが、その結果については次回お伝えします。
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