そば切り 井月庵

趣味ではじめた、そば打ちの日記です。蕎麦で遊ぶ、蕎麦に遊ばれる日々 のはずが・・・ランタン、ストーブ、模型工作などへ

人に伝える

2013年07月09日 | 蕎麦打ち

物事を人に伝えるとは難しいもので、聞き手は自分の聞きたい内容だけ聞き取る傾向にあるそうです。

「バカの壁」という本に昔書いてあったような気がします。実際、普段の生活でもよくあることで、言った言わないの類はそうしたことによるのでしょう。

蕎麦打ちの技術を人に教えようとする場合も同様で、「ああ、そこはこうした方が・・」などと言っても「はい、そうですか」で終わってしまいます。まあ、私が信用されていないという要因もありますが。

そこで、重要なのが師弟関係と言うことだと思います。師匠の言うことは全面的に無条件で実行する必要があります。「なぜそうしなければならないのか」を理解して実行することは重要ですし上達の早道になるかもしれませんが、解らなくてもとに角やってみることの方が重要だと思います。

なぜどうしてを説明しても、聞き手は自分の聞きたい事しか聞かない訳ですから、自然と師匠は無口になります。

ただでさえ口数の少ないオヤジは、「技を見て盗め」という方向に走るか、無理して聞き手の理解がオーバーフローする情報を繰り返し言って聞かせることになります。

たまたま、弟子が師匠が言った内容のことを知ってか知らずかやった場合、とに角褒めないといけないおまけつきです。

人に何かを伝えるということが如何に難しいかということでしょうか。

名人上手が「秘伝」としていることは、教えないのではなく、まだ伝えるに足りるだけの技量が当人にないため、返って修行の邪魔になるため教えないのだそうです。なにもケチで教えない訳ではないとのことです。

ブルース・リーが「考えるな。感じろ」と言った様に、加水率何%、延し幅・厚さ何cmと頭で考える内はまだまだなのでしょう。

高橋邦弘氏の「達磨の蕎麦打ち指南。」というDVDを見ていると高橋さんは、丸延しで一周、麺体をのしているときに30度づつ回して1週12回ですと説明しながら、しゃべっているから何回廻したか解りませんがと言っていながら、巻戻して数えると12回のしているのです。

氏にとっては些細なことでしょうが、そんなことでも「もう良い」と「感じて」判断されていることを痛感します。

 

ちょっとストイックすぎるけど、「蕎麦打ち職人ごっこ」としてはたまにはいいかも。