『議会だより』を見て下さった区民の方からメールをいただきました。
私が行なった「せたがや政策会議」の代表質問の「砧公園の地下に
火葬場を建設せよ」を読んでのご意見でした。
いわく、
「砧公園の地下に火葬場を建設せよ」を読んで目を疑った。思いつき
にも程がある。パンデミックになったり、大震災が来たりしたときは
火葬場がいくつあっても右から左に処理できることは到底考えられな
い。そんな理屈ではなく、提案するなら、将来的に火葬場が不足する
というデータの元に要求すべき。区民の憩いの場である砧公園の地下
に作れとは、あいた口がふさがらない、
…というご趣旨でした。
『議会だより』の紙面では、限られた文字数なので、たしかに唐突に
感じるでしょうし、このような誤解が生じても仕方ないんだろうなぁ、
と思いますが、改めて、正確に伝えることの難しさを感じました。
おそらく、同じように感じている方がほかにもいるだろうと思い、いい
ご指摘をいただいたせっかくの機会ですから、わが会派の主張・提案
について、ここで説明させていただきたいと思います。
(長くなってしまったので、興味のある方だけお読み下さい)
まず、砧公園について、わが会派は、世田谷区が管理運営すべき、
ということを問題の一環として捉えています。(現在は都立公園で
東京都が管理運営している)
また、ターミナルケアに関連して「安心して人生の終末を迎えられる」
という、安心感の醸成が必要なのでは、と考えます。
立派な葬式などいらない、人に迷惑かけずに終末を迎えたい。お金も
かけられない。そういう思いの高齢者夫婦、独居高齢者が増大して
いる中で、目に見える福祉の最終施設が火葬場です。
医療、介護、年金、福祉の先にあるのは終末をどう迎えるか、という
問題だと思うのです。ここの部分は公が担ってもよいはずです。
今、世田谷区民がよく使っているのは「
代々幡斎場」ですが、何日も
待たされるケースが非常に多く、5区(港区、品川区、目黒区、大田区、
世田谷区)が共同出資して建設した
臨海斎場は遠いせいか、世田谷
区民は5%しか利用していません。
これでは、とても世田谷区民のための斎場とは言いがたい状況です。
こうした状況をふまえ、わが会派では、結成当初の平成15年9月
の代表質問で、砧公園の利用の一環として、地下に火葬場を作れ、
と提案しています。(決して、今回、思いつきで言ったのではありま
せん)
今は、大深度地下の技術が進歩しているので、地下を活用すれば
いろいろなことが実現します。
でも、(今回いただいたご意見にもあるように)区民が憩いの場として
利用する公園の下が火葬場だなんて!と思うかもしれません。
実際、砧公園で考えた場合、火葬場の面積が占める割合はどのくらい
のものなのか?
上に貼り付けた画像は、議会質問の際に使ったパネルです。
黄緑色の部分が砧公園で、左下の方にあるピンク色の部分が、代々幡
斎場の面積を示すものです。それを当てはめてみたら、公園のほんの
一部なんですよね。
ピンク色の中にある赤い部分が建物で、建物だけで言えば、世田谷
美術館よりも小さいくらいです。敷地全体を当てはめても、ごく一部
です。
イメージとして、公園の地下全体が火葬場?!とんでもない!と思わ
れるかもしれませんが、全然そんなことはないんです。
また、区内に火葬場が必要!という意見は、うちの会派だけでなく、
議会全体としてもかなり賛同者がいて、過去に他の議員が質問した
ものを以下にご紹介します。
■平成15年9月18日本会議質問(桜井征夫議員)
区立の火葬場の必要性にはどなたも異存はないと思いますが、しか
し、これまでいざ建設となると、迷惑施設としてなかなか周辺の区民
の理解が得られないのが現状です。そこで、私は視点を変えて、
前区長に対し、文化都市世田谷のシンボル的存在として区の内外から
評価の高い区立美術館のある砧公園の中に区立火葬場を建設しては
どうかと提案してまいりました。
都市公園にはさまざまな規制があります。そのほか、都区間の財政上
の制約もありますが、しかし、建設可能な状況を見出し、八十万区民
を擁する都市として、砧公園の中に、新区長のもと、建設すべきと考え
ます。なぜなら、人間の最期を、差別なく安心して最も文化的な環境の
中で、どなたに対してもお見送りできることこそ、文化都市世田谷の名
にふさわしい責任ではないかと思います。世田谷区民で本当によかった
と思っていただけるような、人間の尊厳が平等、公平に守られ、文化
都市の住民として誇りを守って人生の締めくくりができる行政、町、
世田谷であってこそ、文化都市と言えるのではないでしょうか。
議会の構成も変わり、区長もかわりましたので、まずこの機会に新区長
の基本的なご見解を伺っておきたいと思います。
■平成12年11月30日本会議質問(平山八郎議員)
その火葬場ですが、極めて必要性、公共性が高いというお話でありな
がら、どうもどうなっているのか。殊に二〇三〇年には、今の火葬場の
八つでは対応し切れない、ちょうど必要とされる需要が倍になる、これ
は東京都でも明言されているんですね。
ですから、そうなると、やはり火葬場は今八つのところを十六つくらざる
を得ないのか。そういうことであるとするなら、早々に今から対応して
いって、あれをつくるとまた反対なんかが出たりしておくれたりしますけ
れども、世田谷だって八十万の人口を擁して、区が自前の火葬場を一つ
も持っていないというのは、これは区民に対して本当のサービスだろうか
というふうに思うんですよ。
ですから、砧の公園の中に大きな駐車場がある。東京都公園協会で
維持管理して運営している、あの場所があるので、あの地下を掘らせて
いただいて、いつも申し上げますが、地下火葬場をつくれば、煙突は要り
ません、においも立ちませんということですから。現に岡山にございます
のでね。あれは公園の地下にあります。その上に車がとまっていたって
いいじゃないですか。仏様に無礼なことはないと私は思いますよ。
それで、都の方は美術館があるから、一坪といえども世田谷区にはもう
砧公園はやらないというんなら、あの公園はよそから来て遊ぶ人はそんな
におりません。世田谷区立にすればいいのであってね。この辺、どうですか、
区立にしてもらうべく東京都に強く働きかける意思があるかどうかを確認
させていただきたいと思うんですがね。ぜひ近代工法に基づいて、すばら
しい火葬場をあの地下につくってあげようじゃございませんか。それで、
埋め立ての方に近い地域の方々はまた向こうに伺ってもらうということでね。
いつも申し上げますが、今は反対されるというのは、それは人情として
わかるけれども、自分がいずれお世話になる施設ですよ。その人の名前
をコンピューターに入れておいて、必要なときには、反対されたんですから
反対のところへ行かれたらどうですか、というふうにしてもらうようなこと
を考えたらどうなのかななんて思いながら、切実な問題として私はこれを
申し上げているんです。
(以上で引用終わり)
そして、何と言っても、今回、新型インフルエンザ行動計画の中で明らか
になったことを踏まえ、質問しているのですが、『議会だより』には
載らなかった質問内容を以下に貼り付けます。
(田中優子代表質問より抜粋)
今後、新型インフルエンザの大流行、パンデミック・フルーが起きたら、
さらに火葬場が必要となる、ということは、誰の目にも明らかです。
『新型インフルエンザ対策行動計画<改定版>』にも、「遺体に対する
適切な対応」という項目があり「火葬、墓地」のことが書かれています。
そこでは、「新型インフルエンザによって多数の死者が発生し、火葬場
の能力を超えた場合、遺体を一時的に安置するため、区の体育館等の
公共施設を使用する」とあります。
「さらに、火葬の実施まで長時間かかる場合、遺体を消毒した上で墓地
に埋葬する。埋葬可能な墓地がない場合は、都立公園等の公共用地を
臨時の公営墓地とする」とあります。そのために、「遺体搬送、および
火葬作業に従事する者への個人防護具、遺体搬送のための非透過性
納体袋を東京都は事前に用意する」ということまで書いてあります。
つまり、強毒性の新型インフルエンザがまん延し、死者が多数出た場合、
遺体を一人ずつ、消毒して透けない袋に入れて、一時的に都立公園など
を臨時の墓地として埋葬し、後から掘り起こして火葬する、ということ
ですが、実際問題、可能なのか?と、疑問に思いました。震災に遭った
場合も同じことが言えますが、これらのことを考えると、緊急時の備え
としては、明らかに火葬場は足りません。都立公園を臨時の墓地とする
計画があるなら、私共の会派が、従前より主張、提案しているように、
都立砧公園の地下に火葬場を作るべきである、と、考えます。その方が
ずっと現実的で効率的です。
2年前にも同じ提案をさせていただき、当時は「臨海部広域斎場の様子
をみて」という答弁でした。しかし、その時と現在とでは、劇的に状況が
変わっています。「都立公園を臨時公営墓地にする」と、こういう状況に
なっていることを踏まえ、答弁していただきたいと思います。
以上、大変、説明が長くなりましたが、会派としての火葬場に対する
考え、想い、について、詳しく書かせていただきました。
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