獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

友岡雅弥さんの「地の塩」その36)「東北食べる通信」

2024-12-26 01:49:01 | 友岡雅弥

友岡雅弥さんは、執筆者プロフィールにも書いてあるように、音楽は、ロック、hip-hop、民族音楽など、J-Pop以外は何でも聴かれるとのこと。
上方落語や沖縄民謡にも詳しいようです。
SALT OF THE EARTH というカテゴリーでは、それらの興味深い蘊蓄が語られています。
いくつかかいつまんで、紹介させていただきます。

 


カテゴリー: SALT OF THE EARTH

「地の塩」という意味で、マタイによる福音書の第5章13節にでてきます。
(中略)
このタイトルのもとに書くエセーは、歴史のなかで、また社会のなかで、多くの人々の記憶に刻まれずにいる、「片隅」の出来事、エピソー ド、人物を紹介しようという、小さな試みです。


Salt60 - 商品届くの遅れた! どうなる?

2019年3月18日 投稿
友岡雅弥

ある、広いくくりでいう「通販」で起こった出来事です。

「どんこ」というと、関西など西日本エリアでは、ハゼの仲間です。しかし、東北、北日本エリアでは、エゾアイナメを「どんこ」と言います。

東北太平洋岸、つまり東日本大震災被災地では、この魚は人気で、それを専門的に獲る漁師さんもいるほどです。安くて、おいしいのです。肝もおいしく(僕は、岩手の野田村で、よくどんこをたべます)。かなり深いところにいて、深海魚っぽい形をしているので、観光客とかは、あまり食べないようで、だからまだ安値なのかな、とか思ったりして。

秋から冬が旬です。


このどんこ。2013年だったか、2014年に、ものすごく不漁な年のありました。

ある通販で「どんこ」が特集されて、予約注文が殺到したのですが、まったく獲れません。

たいてい、こう言う場合は、他国産とか、他地域産を送ってお茶を濁すのですが、ところが、「獲れません」とあやまったのです。


これは、通販としてはあかんのかもしれません、通信販売ですから、販売できないならば、成り立たないはず。クレームで炎上!が普通かも。

しかし、苦情は0!なし!


むしろ、60を超える「心配」と「励まし」、「いつまでも、待っています」のレスポンスで、「炎上」したのです。


「東北食べる通信」です。

https://tohokutaberu.me


「通信販売」ではなく「通信」です。

販売に力点があるのではなく、「通信」に力点があります。

「広告」ではなく、「通信」つまり、「交流」に力点があります。


「東北食べる通信」の代表の高橋博之さんは、とても面白い人です。

岩手の県会議員(まったくの無所属、一匹狼)だったのですが、東日本大震災で、地盤であり、津波は関係なかった花巻から、ボランティアで、沿岸被災地に通ううちに、漁師さんたちの生き方に感銘を受けて、こんなすばらしい「人たち」また「生業」 を、みんなに伝えたい、と、議員を辞めて、「東北食べる通信」を創りました。

クール便で送られてくる箱のなかに、毎回、違う海産物や農産物とともに、その海産物、農産物を作った生産者さんのドキュメンタリー記事が載ってます。

そして、その産物の由来や歴史や生育法など。

レシピも当然載ってますが、申し訳程度。


つまり、生産者さんと、消費者を繋ぐ。

さらには、繋いで、あとは「直接交流を」と、手を離す。


たいてい、こう言う場合は、「オレがつなげたから、直接は、連絡したらだめ、オレを通せ」みたいな態度がほとんどですが、
「どんどん、勝手に交流してください。 むしろ、それがありがたい」


高橋さんは、「東北食べる通信」を「田舎と都会をかき混ぜる場」「お見合いの場」と位置づけています。


それで、「東北」は大きすぎるから、「勝手に、それぞれの港で、独立した雑誌を」 と、のれん分けもしています。


そして、そののれん分けした「食べる通信」(今、2018年末の時点で、39あります)が、ゆるやかな連携、ボスのいない、交流会などの交流の場で、お互いの頑張りを確かめあう。


そんな「食べる通信連合」をつくっています。

https://taberu.me


高橋さんは、こうも言ってます。

田舎が大変だから助けに行かなきゃいけない、はダメなんですよ。こっちも大変だけどね、都会の人も大変じゃないですか。介護難民、医療難民あふれて、もう限界都市一直線ですよ。

「田舎の農村漁村が限界都市を救うの」っていう考えを、「都市が限界集落を支える」考えにかぶせていけばいいと思うんですね。


面白いお兄さんなのです。また本も出てますので、ご覧ください。


『都市と地方をかきまぜる――「食べる通信」の奇跡』光文社新書

『だから、ぼくは農家をスターにする「食べる通信の挑戦』CCCメディアハウス

ものを買うって、いわば「毎日の投票」だと思うんです。

それによって、社会を少しづつ変えていける。

こころと志しをもった、生産者さんを少しでも支えて、そして、その「毎日」に思いを馳せる。


それによって、「私」も変わります。

 

 


解説
ものを買うって、いわば「毎日の投票」だと思うんです。
それによって、社会を少しづつ変えていける。

いい言葉です。

 

友岡雅弥さんのエッセイが読める「すたぽ」はお勧めです。

 


獅子風蓮



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