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朝昼晩、時間を問わず飲んで喰って面白おかしく過ごす人生を歩みたいです。※旧名「日が沈む前に飲む酒はウマい」

愛されて25周年 春日『BIG Daddy酒場かぶき うぃずふぁみりぃ』

2023年12月27日 | 居酒屋・バー
前回予告したように、今回はプロレスラーのザ・グレート・カブキさんが営む居酒屋を紹介。
正しい屋号は『BIG Daddy酒場かぶき うぃずふぁみりぃ』だが、私や友人たちは「カブキさんの店」と呼んでいた。


最寄り駅は地下鉄の春日駅だが、私はJR水道橋駅から徒歩で向かうことが多かった。
いざ入店すれば、店主のカブキさんと、ママさんこと奥様の安子さんが、温かく迎え入れてくれる。
私は東京の西側に住んでいるし、お店はいつも混雑していたため、頻繁には通えなかったが、
飯田橋に店舗があった頃から通算すると、50回近く訪問しているはずだが、泥酔客や迷惑客とは遭遇したことがない。
仮にそんな客がいたら、店主にぶっ飛ばされるからね(笑)。私も当然、こちらのお店では大人しくしている。
※実際のカブキさんは、もちろん客を殴ったりはしません

著名人が営む飲食店は、あくまで著名人がウリであって、味がイマイチで妙に高かったりすることもあるが、
こちらのお店は、料理も美味しいし価格もリーズナブル
カブキさんは、子供のころから家事もこなしていたし、プロレス入門後も先輩たちの食事を作らされたため、調理には慣れている。
そんな、逸品揃いのおつまみメニューがこちら。


こちらが反対側。この他にも、季節限定料理や日替わり商品もある。


なお、上記2枚の撮影は、コロナ禍前の19年8月なので、価格などは変わっているはず。なので、今回は価格表記は省略する。
前回紹介した、鶏の照り焼き=ドリーテリー焼きのように、
「阿修羅ハラミ串」や「アッジーフレアー」など、レスラーの名前にちなんだ、ユニークな商品も多い。
こちらは、大ぶりの豚バラ肉を焼いた「アブドーラ・ザ・ブッタ串」。


脇のボトルは、お店オリジナルの焼酎で、麦と芋があり、どちらもボトルキープが可能。
こちらは、春日の移転直後、ドリーテリー焼きと同時に登場した、特大サイズの「牛レバーステーキ」。


「ジャイアント・レバ」なんて、いいネーミングだと思うけど、カブキさんは馬場さんのことを、あまり好きではなさそうで(笑)。
ただし、昭和のプロレスファン共通の疑問、【ジャイアント馬場とアントニオ猪木、本当はどっちが強い?】に対し、
カブキさんの見解は「全盛期なら馬場さんが勝つ」であった。猪木もファンだが、団体は全日派の私には嬉しい意見だ。

メニューの紹介に戻る。こちらは、マッシュポテトにひき肉やコーンを混ぜ、チーズを乗せて焼いた「ガッデムポテト」。


商品名の由来は、プロレスのスラングで、誤って急所攻撃することをポテトと呼び、やられた側が罵る言葉が「ガッデムポテト」らしい。
やや乱暴な商品名とは裏腹に、ビールによく合う、美味しいおツマミである。

冬季限定のおでんは、鶏ガラベースで醤油を使わない、透明な出汁の「塩おでん」で、柚子胡椒で食べる。


カブキさんの生まれ故郷・九州では、おでんはこのスタイルらしい。

宮崎で生まれ、リングネームが高千穂明久(本名は米良明久)だった時代もあるカブキさんは、中学生のとき愛知へ引っ越した。
愛知では有名な「どて煮」から発想を得たのが、お店の名物であり、カブキさんの名前を冠した「かぶちゃん煮込み」だ。
牛スジやこんにゃくを赤味噌などで煮込んだ料理で、デジカメ画像は下記のものしかないが、私は数えきれないくらい食べている。


味噌の甘ほろ苦いテイストに、七味をかけて食べると、焼酎がグイグイ進んでしまう。
焼酎類は、ウーロンハイやレモンサワーなどもあるが、ボトルがお得。
芋と麦がキープできて、下記の「東洋の神秘」は飲み切りタイプで持ち帰りも可能。


そして、こちらのお店の名物ドリンクといえば、カブキさんの毒霧と同じカラーのハイボール。
お通しと一緒に映っているこちらは、赤く色付けされた「赤の毒霧ハイボール」で、


こちらは「緑の毒霧ハイボール」。味自体は、どちらも普通のウイスキーソーダだ。


当然毒は入っていないが、飲みすぎると、カブキさんの得意技・アッパーカットをくらったかのように、フラフラになるので注意。

緑の毒霧と一緒に映っていたのが、カレー味のちゃんこ鍋「連獅子」で、名前の由来は、連獅子の「華麗」な舞いだ。


ちゃんこ鍋は、かぶちゃん煮込みと並ぶお店の看板メニューで、価格も長年千円以下で、もっともお得な商品である。
シメには「ごはん」や「チーズ」も用意されているが、私は大好きな「うどん」と「玉子」をよく追加していた。


鍋料理は、すべて客任せの割にバカ高い価格のお店もあるが、こちらは安価にもかかわらず、最後までお店側が調理。
多彩な具材それぞれの煮込み時間を変え、すべて食べ頃になってから提供し、シメの食事も、改めて厨房で作ってくれる。

こちらは、裏メニューからレギュラーに昇格した、鶏出汁ベースの醤油味鍋「そっぷ炊き」。


具材から染み出たスープが美味しく、一滴残さず食べてしまった記憶がある。
そして今年、久々に訪問した祭、キムチ味のちゃんこ鍋「赤い毒霧」を食べてきた。


ラーメンのように、横アングルも撮影。1人前にはじゅうぶんな量だ。


商品名の由来となった真っ赤なスープは、キムチのピリ辛に、各種具材の旨味が合わさり、めちゃくちゃ美味しい。
具材は豚肉、キムチ、白菜、豆腐、キノコ類、ニラ、もやしなど。野菜嫌いの私でも、美味しく食べられる。


シメは当然、玉子+うどん。食べ終えたら身体はポカポカ、お腹はパンパンだ。


カブキさんが飯田橋でお店を開業したのは、50歳になったばかりの頃。その後、現在の春日に店舗移転し、
多くのファンに愛され、25年目を迎えた今年。夏場にお店のSNSで、カブキさんとママさんの連名にて、
「元気なうちに第三の人生のステップを踏み出すべく」「年内で幕引きとさせていただきます」との発表があった。

閉店はショックだし、美味しい料理やお酒、そしてカブキさんご夫婦との会話が楽しめなくなるのは当然さみしいが、
おふたりも熟考しての決断のはずだし、そもそも、ご夫婦の次の人生を干渉する権利は、我々にはない。
最後に挨拶を…と思っていたが、数ヶ月先の予約まですぐに埋まってしまい、今月23日が通常営業最終日となる。
26日と27日、つまり昨日と今日は、だいぶ前から予定表に「特別営業」と記されていたが、その内容が今月、
「予約なしでも来店可能」「大勢のお客様にお会いしたいので心苦しいですが、滞店時間は30分に制限」とSNSにて発表された!
営業時間は16時~20時で、誰でも訪問できる、「スタンディング、お料理提供は無し、ドリンクのみ販売」の30分1本勝負だ。
最後にお会いできるチャンスを作っていただいたので、昨夜、最後の訪問をしてきた。
吉祥寺の和菓子店で、カブキさんの好物である「きんつば」(週刊プロレス・選手名鑑データより)を購入し、お店に到着したのは17時半頃。
すでに2回転し、先客が帰った直後だったため、数分待っただけで入店が許された。

ママさんに軽くご挨拶し、さっそく飲み始める。特別営業のドリンクメニューはこちら。


普段、ウイスキーはあまり飲まないが、せっかくなので緑の毒霧と、

※飲みかけ失礼

赤の毒霧をお替わり。卓上には、“感謝”とブリントされた柿ピーが置かれていた。


せっかくなので、その柿ピーと、カブキさんとお店のロゴが印刷された、お土産用焼酎3000円を、記念品として持ち帰った。


3杯目のウーロンハイも飲み終わり、カブキさんにご挨拶…の前に、図々しくいつものようにプロレスの質問を。
最後は、これまで聞いたことはなかったが、個人的にはすごく気になる事柄である。前回と同様、Qが私でAがカブキさんだ。
Q カブキさんは、世界一強いレスラーはアンドレとおっしゃいましたが、一番巧いレスラーは誰でしょうか?
A ……難しいね。ひとりには絞れないよ。
全米で暴れまわったカブキさんのことだ。我々も知らない技巧派レスラーとの対戦経験も多いのだろう。
何度かたずねてみたが、回答は得られなかった。そこで私はしぶとく、第二の質問を。
Q で、では、日本人で一番巧いと思ったレスラーを教えてください。
A そりゃ馬場さんだよ。馬場さんには叶わない

迷わぬ即答、しかも意外な回答に「えっ!?」と思わず声を上げて驚いた私は、
「カブキさんが『オレだよ』と返答するのを期待したのですが…」と食い下がるも、「いやいや、馬場さんが一番巧い」と断言。
前回書いたように、「全日本プロレスオーナー・馬場」には、待遇面の不満もあったようだが、 ※馬場さんの奥さんも悪いと思う
若い頃は巨体なのに素早く動けて、受け身もこなした、「プロレスラー・馬場」には、カブキさんも一目置いていたのだ。
おふたりの関係を知り、プロレス道の奥の深さを再認識した一夜であった。

貴重な時間は過ぎていき、30分1本勝負は早々とタイムアップ。
お客の大半が、カブキさんやママさんと記念撮影をしていたが、私は過去に撮ってもらったことがあるので、おふたりのツーショットだけを撮影。


カブキさん、安子ママさん、25年間お疲れさまでした!
退店間際、ご夫妻に「ありがとうございました」と告げると、ふたりとも握手をしてくれた。やっぱり来てよかった。

昨夜も告げたが、拙ブログでも再度、最後のご挨拶を。
カブキさん、ママさん、今までありがとうございました。
僭越ながら、おふたりのご健康とご多幸を、心から祈念いたします。



BIG Daddy酒場かぶき うぃずふぁみりぃ
東京都文京区小石川1-25-9
地下鉄春日駅から徒歩約10分、後楽園駅から約15分 ※左記はお店の名刺より、JR水道橋からは20分くらい
営業時間 18時~23時
定休日 日、月、木、祝、その他不定休
※2023年12月27日で閉店なさいました
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