かつて、『赤坂ラーメン』というお店があった。
名前のとおり赤坂で開業し、全盛期は国内外に支店を展開。マスコミにもたびたび登場する有名店であった。
渋谷にも店舗があり、1990年代半ば、当時渋谷で働いていた私も、何度か食事をしている。
ラーメンは、豚骨ベースの白濁したスープに、歯応えのある中太麺の組み合わせ。
当時の豚骨ラーメンは、九州風の細麺や、ホープ軒やラーショ系などの中細麺が主流で、
豚骨醤油スープの家系も、都内の店舗はまだ少なく、太麺の豚骨ラーメンは希少であった。
私が食べていたのは、普通の「ラーメン」か、たまに「チャーシューメン」を頼む程度。
実は赤坂ラーメンは、奇抜なメニューが多く、制限時間内に食べ切ると賞金が出る、デカ盛りの「ジャンボラーメン」や、
牛タンで作ったチャーシューのラーメン、さらには下記画像のように「スペアリブラーメン」なんて商品も提供していた。
※2002年発行 成美堂出版「首都圏 絶対食べたいラーメン220軒」より
若い頃の私は冒険心がなく、上記のようなラーメンには手を出さずじまいであった。
その後、勤務先が変わったため、赤坂ラーメンに足を運ぶ機会はなくなり、21世紀に入ると、気付けば渋谷店はなくなっていた。
他の支店もなくなっていき、最後に残った赤坂本店も、コロナ禍の影響で2021年に閉店。
それでも、本店で15年間修業した方が独立し、東府中に『らーめん赤坂屋』を開業。
一時代を築いた、赤坂ラーメンが食べられるのは、現在ではおそらくここだけである。
そのうち行こう、と思っていた赤坂屋だったが、隣駅の多磨霊園にある『やすいみ~と』に初訪問した際、
満席で入店できず、東府中のどこかでメシを喰おうと徒歩で移動中、偶然にもお店を発見し、迷わず入店。
店内はカウンター席のみで、男性店主から「いらっしゃいませ」と挨拶される。
壁には、店主が赤坂ラーメンで15年間修業したことを証明する、「免許皆伝書」のようなものが掲示してある。
券売機で食券を購入し、セルフサービスのお水を汲んで着席。
後日、券売機を撮影。基本の「ラーメン」780円は塩豚骨味で、他にも醤油味、味噌味、辛口、つけ麺などいろいろ用意されている。
21世紀では初となる赤坂ラーメンだが、やはりベーシックな塩豚骨味を選択。
数分後、真っ赤な丼に入った、乳白色スープのラーメンが登場。
具材は、チャーシュー、メンマ、ほうれん草、海苔、ネギ。丼の大きさは普通かな。
まずはスープからすすってみる。もう25年以上前のことなので、渋谷店の記憶もだいぶ薄れているが、
臭みがなく脂っこさを感じさせない、上品な豚骨スープは、やや旨味が増したものの、懐かしい赤坂ラーメンの味である。
麺も中太の縮れタイプで、渋谷店より柔らかい気もするが、その分、スープとの絡みがよくなった。
私が食べ始めた頃、常連らしい先客が、「替玉ください」と店主に告げた。
券売機には「替玉」なんて見当たらないが、可能ならば、私ももう少し麺を食べたい。
先客が食べ終わり退店したのち、替玉があるのか店主に質問してみたところ、
「大盛にすると、麺が半玉分増えるのですが、さきほどのお客さんは、あとから麺を追加したいとおっしゃったので…」と説明してくれた。
最初から大盛にすると、途中で麺のコシが失われ、冷めやすくなるが、替玉ならばその心配もない。
無論、お店にとっては手間が増えるだけなので、あくまでピークタイム外限定の特別サービスなのだろう。
申しわけないが、私も「大盛」の食券150円を追加購入し、替玉をお願いした。
半玉とはいえ、中太麺ゆえ食べ応えがあり、食後はけっこう満腹になった。スープも飲み干したし。
この20年間で、スープ、麺、具材、ついでに値段も大幅な進化を遂げたラーメン業界において、
赤坂屋さんのラーメンは、「ひと昔前の味」扱いになってしまうのかもしれないが、
私自身も、もはや「ひと昔前の人間」なので、このテイストが舌になじむ。
食後は店主に、「20年以上前に渋谷店で食べて以来の赤坂ラーメンでしたが、相変わらず美味しかったです」と感想を述べた。
店主自身も、渋谷店で勤務したことがあったようで「懐かしいですね」と振り返ったのち、
「赤坂本店も閉店してしまいましたが、自分はまだまだ頑張りますよ」と語ってくれた。
ラーメンの味だけでなく、店主の穏やかな人柄も気に入った私は、数日後に早々と再訪。
2度目に注文したのは、券売機に(醤油)と記載してある「赤坂小町」830円。
基本のスープに醤油ダレを加えたと思われる、茶褐色のラーメンであった。
食べログでは「家系みたい」「マイルドな家系」なんて感想も散見されるが、もちろん、母体の赤坂ラーメンは無関係なので、
「家系じゃねーよバカ野郎…」などと、パソコン画面に向かって毒づいたものだが、
こうしてニンニクと豆板醤を乗せてメンマを隠せば、家系ラーメンに見えなくもない。
スープは、家系ほどしょっぱくなく、醤油由来の風味を感じたのち、ほのかな旨味が残る。
個人的には、家系ではなく、『天下一品』のこってりスープの後味に近い、妙な旨味(←ホメ言葉)を感じた。
初めて食べたが、赤坂小町ラーメンはなかなかイケる! ベーシックな塩豚骨味しか知らなかった、過去の自分が悔しい。
この日は、待ち客が出るほどの盛況ぶりゆえ、店主とは会話する間もなく、食後はとっとと退店した。
3度目の訪問は、市内の某店で食事した帰りに、締めを食べるため訪問。
以前も書いたが、府中市は魅力的な個人経営の飲食店が多数存在し、実にうらやましい。
塩と醤油を頼んだので、今回は「味噌ラーメン」880円+「味付玉子」120円をオーダー。
券売機の上に、見本の写真があり、味噌ラーメンにはモヤシとキムチが乗る模様。
厨房にいる店主の作業を眺めていると、モヤシをひと袋丸ごと茹で始めたため、次の客のための茹で置きかな、と思っていたら、
モヤシはすべて、私の味噌ラーメンに入れているではないか(苦笑)。写真見本より多いぞ。
横アングルがこちら。最近はご無沙汰している、『ラーメン二郎』のような盛り具合である。
とりあえず、モヤシを沈める「天地返し」をしたのち、スープと麺をすすっていく。
味噌スープもやはり、尖っていないまろやかな味わい。モヤシはともかく、少量のキムチがいい働きをしている。
味玉は、黄身が溶け出すソフトな仕上がり。さっきの赤坂小町に半個分入っていた、固ゆでの「ゆで玉子」は70円だ。
途中で、卓上のニンニク、豆板醤、七味を追加し、一部モヤシとスープを除き、すべてたいらげた。
ここまで触れていなかったが、赤坂屋さんは、チャーシューもなかなか美味しい。
実際、ファンも多いようで、「トッピングチャーシュー1枚」110円や、各種チャーシューメンは、毎回「売り切れ」状態。
店主曰く、「夜営業開始直後(17時)ならあるかも」とのことなので、4度目は、チャーシュー狙いで17時台に訪問。
券売機からチャーシューメニューが消えていないのを確認し、「おつまみチャーシュー」550円と、
「ビール中瓶」650円、さらに大好物の「ギョーザ5個」550円の食券を購入。
まずはキリン一番搾り、そしておつまみチャーシューが登場。
チャーシューはレンジで加熱したのちタレを少量垂らし、ネギとキムチを添えて提供される。
ビールがすぐに空いてしまったので、「ウーロンハイ」450円にチェンジ。ちょうど餃子も焼き上がった。
餃子は、一般的なものよりやや大きめで、中身は野菜多めでジューシー。
店主曰く、「修行先の餃子とは異なります」とのことだが、なかなか美味しい餃子だったので、ウーハイお替わり。
まだ早い時間帯でお客さんも少なかったので、往時の赤坂ラーメンについて、店主と語らせていただいた。
私がもっとも気になっていたのが、【赤坂ラーメンと木村健悟の関係】である。
木村健悟とは、昭和のプロレスファンなら誰でも知っているが、同世代の藤波辰爾、長州力らと比較すると、人気や実績では見劣り、
歌唱力はあるが、プロレスの実力は怪しく(?)、マニアの評価が分かれる中堅レスラーである。
※アマゾンのサイトから拝借した、木村のCD
赤坂ラーメン渋谷店の壁には、なぜか彼の写真が貼ってあり、その下には、
「プロレスラーの木村健悟です。僕は赤坂ラーメンを食べて一発で気に入り、このお店の応援団長になることを決意しました」
のような内容のメッセージも添えてあった。店内に提示しているということは、非公式ではなくお店公認なのだろう。
ただ、彼が応援しているからといって、赤坂ラーメンの評価が上がるとは思えず、ケンゴに会うため来店するファン…は少なそう(苦笑)。
私自身は、3度目くらいの訪問時に、先客としてカウンター席にいた、彼の隣席に座ったことがあった。
驚いたことに、ケンゴは客としてラーメンをすすっているかと思いきや、「今日はスープがイマイチだな」とつぶやくと、
店員さんに向かって「もっと豚骨の分量を増やせ」などと、エラそうに命令しているではないか。
応援団長といいつつ、まるで店舗管理者のような振る舞いに、「ケンゴのくせに…」(失礼)と、不愉快になったものである。
上記事件(?)について、「あれは越権行為ですよね?」と店主に不満をぶちまけたところ、
「木村さんは奥さんともども、(赤坂ラーメンの)社長と親交があったようで、渋谷以外の店舗にもよくご来店してまして、
ひょっとしたら、(店員に指示する)権限があったのかもしれません」とおっしゃるが、そんな権限、社長が与えるかなあ?
温厚な店主は、ケンゴの批判は一切せず、「やはりレスラーですから、スゴイ身体をしてましたよ」と称える。
その意見については、彼を間近で見た私も、「確かに、腕も太く立派な体格でしたね」と同意した。
最近は小柄な選手も多いけど、プロレスラーはやはり、常人離れした外観であってほしいよ。
木村健悟については、拙ブログの小好評企画「私的プロレススーパースター列伝」で、改めて語ってみたい。
お客さんも増えてきたので、会話をやめて締めの食事に。この日の注文は、初めて食べる「黒麻ラーメン」830円。
基本のラーメンに自家製「黒麻ダレ」がかかっており、おつまみチャーシューの残りを追加し、さっそく食べ始める。
自家製ダレは、黒ゴマベースらしく、独特の甘味と香ばしさが口内に広がる。マー油と違い、ニンニク臭や苦みはない。
かき混ぜると、純白のスープが漆黒に染まり、木村健悟の黒タイツを思い出させた(ウソ)。
飲んで食って、お腹パンパンになり「ごちそうさまでした」。次回は未食の「つけ麺」を食べよう。
赤坂屋さんには当初、かつて食べたラーメンを懐かしむつもりで訪問したのだが、
「赤坂小町」など個人的に未知のテイストや、真摯な店主にも魅了され、回顧どころか、現在進行形のファンになってしまった。
ケンゴのように応援団長を名乗る気はないが、応援していきたいと思わせるお店である。
らーめん赤坂屋
東京都府中市若松町1-37-26
京王線東府中駅から徒歩約4分、JRなら府中本町駅から推定約25分
営業時間 11時~15時、17時~21時
定休日 水曜、年末年始
※スープ切れによる早じまいあり
名前のとおり赤坂で開業し、全盛期は国内外に支店を展開。マスコミにもたびたび登場する有名店であった。
渋谷にも店舗があり、1990年代半ば、当時渋谷で働いていた私も、何度か食事をしている。
ラーメンは、豚骨ベースの白濁したスープに、歯応えのある中太麺の組み合わせ。
当時の豚骨ラーメンは、九州風の細麺や、ホープ軒やラーショ系などの中細麺が主流で、
豚骨醤油スープの家系も、都内の店舗はまだ少なく、太麺の豚骨ラーメンは希少であった。
私が食べていたのは、普通の「ラーメン」か、たまに「チャーシューメン」を頼む程度。
実は赤坂ラーメンは、奇抜なメニューが多く、制限時間内に食べ切ると賞金が出る、デカ盛りの「ジャンボラーメン」や、
牛タンで作ったチャーシューのラーメン、さらには下記画像のように「スペアリブラーメン」なんて商品も提供していた。
※2002年発行 成美堂出版「首都圏 絶対食べたいラーメン220軒」より
若い頃の私は冒険心がなく、上記のようなラーメンには手を出さずじまいであった。
その後、勤務先が変わったため、赤坂ラーメンに足を運ぶ機会はなくなり、21世紀に入ると、気付けば渋谷店はなくなっていた。
他の支店もなくなっていき、最後に残った赤坂本店も、コロナ禍の影響で2021年に閉店。
それでも、本店で15年間修業した方が独立し、東府中に『らーめん赤坂屋』を開業。
一時代を築いた、赤坂ラーメンが食べられるのは、現在ではおそらくここだけである。
そのうち行こう、と思っていた赤坂屋だったが、隣駅の多磨霊園にある『やすいみ~と』に初訪問した際、
満席で入店できず、東府中のどこかでメシを喰おうと徒歩で移動中、偶然にもお店を発見し、迷わず入店。
店内はカウンター席のみで、男性店主から「いらっしゃいませ」と挨拶される。
壁には、店主が赤坂ラーメンで15年間修業したことを証明する、「免許皆伝書」のようなものが掲示してある。
券売機で食券を購入し、セルフサービスのお水を汲んで着席。
後日、券売機を撮影。基本の「ラーメン」780円は塩豚骨味で、他にも醤油味、味噌味、辛口、つけ麺などいろいろ用意されている。
21世紀では初となる赤坂ラーメンだが、やはりベーシックな塩豚骨味を選択。
数分後、真っ赤な丼に入った、乳白色スープのラーメンが登場。
具材は、チャーシュー、メンマ、ほうれん草、海苔、ネギ。丼の大きさは普通かな。
まずはスープからすすってみる。もう25年以上前のことなので、渋谷店の記憶もだいぶ薄れているが、
臭みがなく脂っこさを感じさせない、上品な豚骨スープは、やや旨味が増したものの、懐かしい赤坂ラーメンの味である。
麺も中太の縮れタイプで、渋谷店より柔らかい気もするが、その分、スープとの絡みがよくなった。
私が食べ始めた頃、常連らしい先客が、「替玉ください」と店主に告げた。
券売機には「替玉」なんて見当たらないが、可能ならば、私ももう少し麺を食べたい。
先客が食べ終わり退店したのち、替玉があるのか店主に質問してみたところ、
「大盛にすると、麺が半玉分増えるのですが、さきほどのお客さんは、あとから麺を追加したいとおっしゃったので…」と説明してくれた。
最初から大盛にすると、途中で麺のコシが失われ、冷めやすくなるが、替玉ならばその心配もない。
無論、お店にとっては手間が増えるだけなので、あくまでピークタイム外限定の特別サービスなのだろう。
申しわけないが、私も「大盛」の食券150円を追加購入し、替玉をお願いした。
半玉とはいえ、中太麺ゆえ食べ応えがあり、食後はけっこう満腹になった。スープも飲み干したし。
この20年間で、スープ、麺、具材、ついでに値段も大幅な進化を遂げたラーメン業界において、
赤坂屋さんのラーメンは、「ひと昔前の味」扱いになってしまうのかもしれないが、
私自身も、もはや「ひと昔前の人間」なので、このテイストが舌になじむ。
食後は店主に、「20年以上前に渋谷店で食べて以来の赤坂ラーメンでしたが、相変わらず美味しかったです」と感想を述べた。
店主自身も、渋谷店で勤務したことがあったようで「懐かしいですね」と振り返ったのち、
「赤坂本店も閉店してしまいましたが、自分はまだまだ頑張りますよ」と語ってくれた。
ラーメンの味だけでなく、店主の穏やかな人柄も気に入った私は、数日後に早々と再訪。
2度目に注文したのは、券売機に(醤油)と記載してある「赤坂小町」830円。
基本のスープに醤油ダレを加えたと思われる、茶褐色のラーメンであった。
食べログでは「家系みたい」「マイルドな家系」なんて感想も散見されるが、もちろん、母体の赤坂ラーメンは無関係なので、
「家系じゃねーよバカ野郎…」などと、パソコン画面に向かって毒づいたものだが、
こうしてニンニクと豆板醤を乗せてメンマを隠せば、家系ラーメンに見えなくもない。
スープは、家系ほどしょっぱくなく、醤油由来の風味を感じたのち、ほのかな旨味が残る。
個人的には、家系ではなく、『天下一品』のこってりスープの後味に近い、妙な旨味(←ホメ言葉)を感じた。
初めて食べたが、赤坂小町ラーメンはなかなかイケる! ベーシックな塩豚骨味しか知らなかった、過去の自分が悔しい。
この日は、待ち客が出るほどの盛況ぶりゆえ、店主とは会話する間もなく、食後はとっとと退店した。
3度目の訪問は、市内の某店で食事した帰りに、締めを食べるため訪問。
以前も書いたが、府中市は魅力的な個人経営の飲食店が多数存在し、実にうらやましい。
塩と醤油を頼んだので、今回は「味噌ラーメン」880円+「味付玉子」120円をオーダー。
券売機の上に、見本の写真があり、味噌ラーメンにはモヤシとキムチが乗る模様。
厨房にいる店主の作業を眺めていると、モヤシをひと袋丸ごと茹で始めたため、次の客のための茹で置きかな、と思っていたら、
モヤシはすべて、私の味噌ラーメンに入れているではないか(苦笑)。写真見本より多いぞ。
横アングルがこちら。最近はご無沙汰している、『ラーメン二郎』のような盛り具合である。
とりあえず、モヤシを沈める「天地返し」をしたのち、スープと麺をすすっていく。
味噌スープもやはり、尖っていないまろやかな味わい。モヤシはともかく、少量のキムチがいい働きをしている。
味玉は、黄身が溶け出すソフトな仕上がり。さっきの赤坂小町に半個分入っていた、固ゆでの「ゆで玉子」は70円だ。
途中で、卓上のニンニク、豆板醤、七味を追加し、一部モヤシとスープを除き、すべてたいらげた。
ここまで触れていなかったが、赤坂屋さんは、チャーシューもなかなか美味しい。
実際、ファンも多いようで、「トッピングチャーシュー1枚」110円や、各種チャーシューメンは、毎回「売り切れ」状態。
店主曰く、「夜営業開始直後(17時)ならあるかも」とのことなので、4度目は、チャーシュー狙いで17時台に訪問。
券売機からチャーシューメニューが消えていないのを確認し、「おつまみチャーシュー」550円と、
「ビール中瓶」650円、さらに大好物の「ギョーザ5個」550円の食券を購入。
まずはキリン一番搾り、そしておつまみチャーシューが登場。
チャーシューはレンジで加熱したのちタレを少量垂らし、ネギとキムチを添えて提供される。
ビールがすぐに空いてしまったので、「ウーロンハイ」450円にチェンジ。ちょうど餃子も焼き上がった。
餃子は、一般的なものよりやや大きめで、中身は野菜多めでジューシー。
店主曰く、「修行先の餃子とは異なります」とのことだが、なかなか美味しい餃子だったので、ウーハイお替わり。
まだ早い時間帯でお客さんも少なかったので、往時の赤坂ラーメンについて、店主と語らせていただいた。
私がもっとも気になっていたのが、【赤坂ラーメンと木村健悟の関係】である。
木村健悟とは、昭和のプロレスファンなら誰でも知っているが、同世代の藤波辰爾、長州力らと比較すると、人気や実績では見劣り、
歌唱力はあるが、プロレスの実力は怪しく(?)、マニアの評価が分かれる中堅レスラーである。
※アマゾンのサイトから拝借した、木村のCD
赤坂ラーメン渋谷店の壁には、なぜか彼の写真が貼ってあり、その下には、
「プロレスラーの木村健悟です。僕は赤坂ラーメンを食べて一発で気に入り、このお店の応援団長になることを決意しました」
のような内容のメッセージも添えてあった。店内に提示しているということは、非公式ではなくお店公認なのだろう。
ただ、彼が応援しているからといって、赤坂ラーメンの評価が上がるとは思えず、ケンゴに会うため来店するファン…は少なそう(苦笑)。
私自身は、3度目くらいの訪問時に、先客としてカウンター席にいた、彼の隣席に座ったことがあった。
驚いたことに、ケンゴは客としてラーメンをすすっているかと思いきや、「今日はスープがイマイチだな」とつぶやくと、
店員さんに向かって「もっと豚骨の分量を増やせ」などと、エラそうに命令しているではないか。
応援団長といいつつ、まるで店舗管理者のような振る舞いに、「ケンゴのくせに…」(失礼)と、不愉快になったものである。
上記事件(?)について、「あれは越権行為ですよね?」と店主に不満をぶちまけたところ、
「木村さんは奥さんともども、(赤坂ラーメンの)社長と親交があったようで、渋谷以外の店舗にもよくご来店してまして、
ひょっとしたら、(店員に指示する)権限があったのかもしれません」とおっしゃるが、そんな権限、社長が与えるかなあ?
温厚な店主は、ケンゴの批判は一切せず、「やはりレスラーですから、スゴイ身体をしてましたよ」と称える。
その意見については、彼を間近で見た私も、「確かに、腕も太く立派な体格でしたね」と同意した。
最近は小柄な選手も多いけど、プロレスラーはやはり、常人離れした外観であってほしいよ。
木村健悟については、拙ブログの小好評企画「私的プロレススーパースター列伝」で、改めて語ってみたい。
お客さんも増えてきたので、会話をやめて締めの食事に。この日の注文は、初めて食べる「黒麻ラーメン」830円。
基本のラーメンに自家製「黒麻ダレ」がかかっており、おつまみチャーシューの残りを追加し、さっそく食べ始める。
自家製ダレは、黒ゴマベースらしく、独特の甘味と香ばしさが口内に広がる。マー油と違い、ニンニク臭や苦みはない。
かき混ぜると、純白のスープが漆黒に染まり、木村健悟の黒タイツを思い出させた(ウソ)。
飲んで食って、お腹パンパンになり「ごちそうさまでした」。次回は未食の「つけ麺」を食べよう。
赤坂屋さんには当初、かつて食べたラーメンを懐かしむつもりで訪問したのだが、
「赤坂小町」など個人的に未知のテイストや、真摯な店主にも魅了され、回顧どころか、現在進行形のファンになってしまった。
ケンゴのように応援団長を名乗る気はないが、応援していきたいと思わせるお店である。
らーめん赤坂屋
東京都府中市若松町1-37-26
京王線東府中駅から徒歩約4分、JRなら府中本町駅から推定約25分
営業時間 11時~15時、17時~21時
定休日 水曜、年末年始
※スープ切れによる早じまいあり