思いつくままに

日記のようなメモのような日々思いついたことなどを書き付けていこうと思います。

父の仕事

2006-12-15 00:47:09 | 展覧会

父は木版画の摺り師であった。父の死後兄がその仕事を引き継いでいたが、病気のために自分の思うような仕事が出来なくなり、それを引き継ぐ者が無く廃業してしまった。最近父の家を処分する事になって父の仕事に関係する一切を神奈川県立歴史博物館に寄付した。それらの整理が出来たのでその一部を展示をしているというので娘と一緒に見に行った。父が仕事場で使っていた絵の具だらけの道具達は綺麗になって、丁寧に説明つきでガラスの向こうに並んでいた。50年以上も前の印刷物が綺麗なままで残されていたのは驚いた。あの古びた家の中のどこにどんな風にしまってあったのか私は思い出す事が出来ない。あの馬簾の中の芯はひも状のものを数箇所糸で結びながら丸くしていくのだがその糸を結ぶ事を良く手伝わされたものだ。そこに並べられた道具のどれもが父や、兄の手にしたものだと思うととても懐かしい。父のしていた仕事がなくなってしまったことを本当に残念に思っていたが、その証が博物館にこのような形で残ったことは大変嬉しい事であった。
コメント (6)
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