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京ことばにお腹いっぱい「告白の余白」by下村敦史

2017年05月24日 | 小説レビュー
~家を出た兄が実家の農地の生前贈与を求めて突然帰ってきた。しかし、「2月末日までに清水京子という女性が来たら土地を譲渡してほしい」という遺書を記し自殺。
兄はなぜ死んだのか。そして、女は何者なのか。期限の意味は。
死の真相を知るため、弟の英二は一人京都へ向かうが―そこは、虚実入り混じる言葉で築かれた伝統の町。
腹黒、嫌味、皮肉に塗れた“告白”が真実を覆い隠す。最後の1頁まで気が抜けない!表裏、黒白、真偽が次々と逆転するノンストップミステリ。「BOOK」データベースより


京都(祇園)が舞台のミステリー小説です。作者の下村敦史氏は京都出身らしく、間違いの無い「京ことば」で全編が埋め尽くされております。

京都人の僕(作中では山科は京都に含まれていないらしいが)をもってしても、知らない京ことばが出てきたり、祭りや風習など、京都独自の歴史文化、伝統などが、しつこいぐらいに描かれており、やや辟易します。

京都が好きで、伝統文化に興味がある人は楽しんでいただけるかも知れませんね。

ストーリー的には、最後の方で、どんでん返しがあり、謎が明らかになっていき、オチもついてます。

しかしながら、随所に「京都人は底意地が悪く、本音は見せへん、イケズな人」というスタンスが貫かれており、読んでいて気持ちがよい小説ではありません。結果として「しんどい」小説でした。

★★☆2.5です。