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こんな時代もあったのね「官僚たちの夏」by城山三郎

2017年05月26日 | 小説レビュー
〜国家の経済政策を決定する高級官僚たち――通産省を舞台に、政策や人事をめぐる政府・財界そして官僚内部のドラマを捉えた意欲作。


昭和30年代の、まさに「高度経済成長期」に入る頃の日本の通産官僚たちの熱い闘いぶりを描いた作品です。

『ミスター通産省』と呼ばれた実在の人物をモデルに書かれた、半ノンフィクションという感じですかね?

それだけに、ドラマチック過ぎる展開や大どんでん返しもありませんし、キャラクターを描くことに注力しすぎて、ややストーリーの深さや厚みに欠けます。

世界一優秀だといわれて久しい日本の官僚たちですが、時代は違えども、こんなにも命を削って仕事をしているんだな、と思わされます。

主人公のキャラクターが破天荒過ぎて「もうちょっと上手にやったらええのに」と、ハラハラ、イライラします。

暴走機関車に引っ張られて、それでも精一杯付いていく周りの後輩たちは、残念ながら、それぞれ悲しい末路を迎えます。

いまの日本の平和と繁栄があるのは、戦後の荒廃した日本をわずか20年足らずで再び立ち上がらせてくれた、大正生まれの人たちのガムシャラな働き以外の何ものでもありません。

自分たちのお祖父ちゃん、お祖母ちゃん世代の人たちの感謝感謝です。

★★★3つです。