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なかなかのホラーミステリー『夜市』by恒川光太郎

2017年08月14日 | 小説レビュー
〜大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。
裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。夜市では望むものが何でも手に入る。
小学生のころに夜市に迷い込んだ裕司は、自分の幼い弟と引き換えに「野球の才能」を買ったのだという。
野球部のヒーローとして成長し、甲子園にも出場した裕司だが、弟を売ったことにずっと罪悪感を抱いていた。
そして今夜、弟を買い戻すために夜市を訪れたというのだが―。第12回日本ホラー小説大賞受賞作。「BOOK」データベースより


『第12回日本ホラー小説大賞受賞』作品との触れ込みで、図書館で借りてきました。

ホラー小説ですが、ミステリー要素がふんだんに盛り込まれており、なかなか良い出来です。

『夜市』と『風の古道』の二作品が収録されており、僕は『風の古道』の方が好きですね。

どちらも同じように、前半は静かに立ち上がり、中盤から加速がついて、終盤でどんでん返しがあり、ラストは物寂しさと、少なからず清涼感が漂います。

全体を通して、文章力と描写力、そしてキャラクターの造形に若干の物足りなさを感じました。

恒川光太郎氏のデビュー作品なので、そのあたりは仕方無いかも知れませんね。

★★★3つです。