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心乱される短編集『ソナチネ』by小池真理子

2018年10月04日 | 小説レビュー
生きて、愛して、死ぬ、ということ。
その途方もない歓喜と悦楽。
あなたの心をかき乱す、七つの物語。「BOOK」データベースより


相変わらず小池真理子さんの作品は素晴らしい世界観に包まれています。

七つの短編が収録されているのですが、どの作品からも、何とも言えない芳しい薫りが漂っていて、短編なのに、一つの物語を読み終える度に心の中の井戸に美しい宝玉を投げ込まれたように美しい波紋がふわ〜っと広がります。

巧く言葉で説明することが出来ませんが、やはり小池真理子さんが描き出す文章には、小池真理子さん特有の「危うく、儚げで、透き通っていて、それでいて震えるほど官能的」

そんな言葉や情景に満ち溢れています。

短編集だけあって、この『ソナチネ』は、老若男女問わず共感できる物語が一つ二つあると思います。

「もっと読みたい!この先はどうなるん?」と思うところで話が終わってしまうので、何とも言えない焦燥感と「ここで終わるからエエのよ」と納得する感情が綯い交ぜになって、心が乱されます・・・。

しかし、ますます小池真理子さんが好きになることは間違いなく、『交感』ではないですが、ファンレターを書きたくなりました。

★★★☆3.5です。