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虚しさしか残りません『黄色い目の魚』by佐藤多香子

2018年10月18日 | 小説レビュー
~海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて―。16歳というもどかしく切ない季節を、波音が浚ってゆく。青春小説の傑作。


はぁ~・・・σ(^_^;)?
「虚無感」というのがピッタリの感想です。

まさに「虚しく何も無い」物語でした。

初っぱなから男の子の一人称で始まり、「これは嫌な予感」と思いながら読み始めましたが、いきなり打ち切られ、別の女の子の話になります。

「短編集なんか?」と思い、女の子の章が終わり、「まぁこれはこれで別の話に期待」と思いきや、なんと二人が出会い、物語はこの二人の微妙な恋物語へと繋がり、個性敵な周辺居住者が絡んできて・・・。

とまぁ何かを期待させますが、結局、物語を捏ねくりまわしただけで、一応感動のラストを迎えます。

本屋大賞というフレコミと、風変わりなタイトルに惹かれましたが、大きく期待を裏切られました。

台詞も心理描写も響かず、やたらと擬音を多用する文体にも違和感を覚えました。

もちろん感情移入できるわけもなく、一昔前に一世を風靡した「バーチャファイター」のポリゴンを見ているような気がしました。

人間の動きをコンピューターで、それらしく再現してる感じですね。

作り物の雰囲気が最後まで漂っていて、虚しさしか残りませんでした。

佐藤多香子氏の作品はいろいろ出ているみたいですが、もう手に取ることはないでしょう。

★★2つです。