結婚してから長い間 子供に恵まれなかった
同じ年頃の女性がベビーカーを押している・・その姿をどれだけうらやましいと思った事だろう
不妊治療の検査に 大学病院にも行った
排卵誘発剤も飲んだ
薬を服用する度に妊娠を期待して 期待外れに終わった
すべてが嫌になって 通院もやめた 薬も飲まなくなった
それからしばらくして私は自然妊娠して 子供を授かった
11月11日 寒い雨の降る夜に私は母親になった
おとなしい子供で 言葉も遅く お友達にもあまり興味を持たず 3歳児健診でひっかかった
「この子の成長は2歳にはなっていますが 3歳にはなっていません」
私はかなりショックを受け茫然として 心配したママ友が家の近くまで送ってくれた
家の玄関まで子供の手を引いて歩いた
西日がまぶしかった
急に子供がいつも見ているトトロの最後にかかる曲を歌いはじめた
おかあさんはかなしくても なみだなんて みせないわ わたしのだいすき おかあさん
私は子供の手をぎゅっと握って 玄関のドアを閉めるなり 泣いた
子供は再検診で「ゆっくりさん」とだけ言われた
ほっとはしたが 子供はやはりかなりおとなしく ほかの子供に比べてできる事が少なかった
お外遊び中心の幼稚園に入れ ようやく子供らしく お友達と交わって遊ぶようになった頃 第二子を妊娠した
満月になったら赤ちゃんが産まれる
そんな話をしたら 子供は月が隠れると不安がった
子供は幼稚園の年長さんで6歳離れた弟ができた
「早く 赤ちゃんから 子供になってほしいな 早く一緒に遊びたい」
次男はかなり活発だった
長男が小学校に入った頃 次男は離乳食のまっさかりだったが スプーンを持たせても持たせても ぽいっと投げて手づかみして食べた
私は何度も何度も次男の隣に座って スプーンを持たせる
次男は何度持たせても ぽいっと遠くに投げてしまうのだ
長男は次男の正面に座って この様子を見ながら食事をする
ある日私は根負けして 次男が投げ捨てたスプーンを拾わずに 手づかみで食べ続ける彼を苦い顔で見ながら いつもは主人の席の長男の隣に座り食事をした
隣に座っている長男も 手づかみで機嫌よく食べている乳児を見ながら食事をしていたが ふと私の方をみた
「今日は何だかご飯がおいしいと思ったら おかあさんが隣に座ってた」
ちょうど生え変わりの歯の抜けた口元でにこっと私に向かって笑った
母親であることを幸せに思う
今も長男と次男は食卓で向かい合って食事をしている
足でちょっかいを出し合ったり つまらない事で言い争ったりしている
私は今でも次男の隣に座り 半ばあきれながら二人を見つつ食事をする
毎日毎日にぎやかだ
子供たちは成長し 長男は大学受験を控えている
もしかしたら どこか遠くの大学に進学して この食卓に常には帰ってこれなくなるかもしれない
子供を独り立ちさせるのも 母親の仕事だとは頭では判りながら もう少し私の手元にいて欲しいと願ってしまう
もう少し 私の食卓にいて欲しい
でもいつか巣立たせなくてはならないのだろう
子育ての期間は長いような短いような
後で後悔しないように 自分のできることはすべて子供たちにしてやろう
だって二人とも「母親になりたい」という私の望みをかなえてくれた大事な存在なのだから
同じ年頃の女性がベビーカーを押している・・その姿をどれだけうらやましいと思った事だろう
不妊治療の検査に 大学病院にも行った
排卵誘発剤も飲んだ
薬を服用する度に妊娠を期待して 期待外れに終わった
すべてが嫌になって 通院もやめた 薬も飲まなくなった
それからしばらくして私は自然妊娠して 子供を授かった
11月11日 寒い雨の降る夜に私は母親になった
おとなしい子供で 言葉も遅く お友達にもあまり興味を持たず 3歳児健診でひっかかった
「この子の成長は2歳にはなっていますが 3歳にはなっていません」
私はかなりショックを受け茫然として 心配したママ友が家の近くまで送ってくれた
家の玄関まで子供の手を引いて歩いた
西日がまぶしかった
急に子供がいつも見ているトトロの最後にかかる曲を歌いはじめた
おかあさんはかなしくても なみだなんて みせないわ わたしのだいすき おかあさん
私は子供の手をぎゅっと握って 玄関のドアを閉めるなり 泣いた
子供は再検診で「ゆっくりさん」とだけ言われた
ほっとはしたが 子供はやはりかなりおとなしく ほかの子供に比べてできる事が少なかった
お外遊び中心の幼稚園に入れ ようやく子供らしく お友達と交わって遊ぶようになった頃 第二子を妊娠した
満月になったら赤ちゃんが産まれる
そんな話をしたら 子供は月が隠れると不安がった
子供は幼稚園の年長さんで6歳離れた弟ができた
「早く 赤ちゃんから 子供になってほしいな 早く一緒に遊びたい」
次男はかなり活発だった
長男が小学校に入った頃 次男は離乳食のまっさかりだったが スプーンを持たせても持たせても ぽいっと投げて手づかみして食べた
私は何度も何度も次男の隣に座って スプーンを持たせる
次男は何度持たせても ぽいっと遠くに投げてしまうのだ
長男は次男の正面に座って この様子を見ながら食事をする
ある日私は根負けして 次男が投げ捨てたスプーンを拾わずに 手づかみで食べ続ける彼を苦い顔で見ながら いつもは主人の席の長男の隣に座り食事をした
隣に座っている長男も 手づかみで機嫌よく食べている乳児を見ながら食事をしていたが ふと私の方をみた
「今日は何だかご飯がおいしいと思ったら おかあさんが隣に座ってた」
ちょうど生え変わりの歯の抜けた口元でにこっと私に向かって笑った
母親であることを幸せに思う
今も長男と次男は食卓で向かい合って食事をしている
足でちょっかいを出し合ったり つまらない事で言い争ったりしている
私は今でも次男の隣に座り 半ばあきれながら二人を見つつ食事をする
毎日毎日にぎやかだ
子供たちは成長し 長男は大学受験を控えている
もしかしたら どこか遠くの大学に進学して この食卓に常には帰ってこれなくなるかもしれない
子供を独り立ちさせるのも 母親の仕事だとは頭では判りながら もう少し私の手元にいて欲しいと願ってしまう
もう少し 私の食卓にいて欲しい
でもいつか巣立たせなくてはならないのだろう
子育ての期間は長いような短いような
後で後悔しないように 自分のできることはすべて子供たちにしてやろう
だって二人とも「母親になりたい」という私の望みをかなえてくれた大事な存在なのだから