辺見じゅん「水に映す」よりいくつか~
*をみなにもうろこのありて瞬時にも人は老ゆると塩のごとき夜 (をみな・・・おんな)
*ざうざうと影の伸びゆく夜が来て父なき家に父のこゑ聞く
*遥かなる空はるかなる人の息 鳥類のねむりひたすらならん
*しづかなる罪を持ちたる喉仏みなづきの夜を閑古鳥のこゑ
*散る花のうへにまた散るねぶの花みつめて母と歩を合わすなり
*この木まで登ってきたか蝉の殻 歩哨のごとき木のかたはらに
*月よみの世の夕ぐれを緋のめだか鉢の中にて思惟もつごとし
・・・・・・個人的にはこういうのが好きだな。