続・知青の丘

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永田和宏先生来熊された

2014-05-11 14:05:44 | 俳句以外
母を知らぬわれに母無き五十年
湖(うみ)に降る雪降りながら消ゆ 
永田和宏 『百万遍界隈』
なぜか
人数合わせで5月9日懇親会に参加し
翌日10日の講演会を拝聴しました。

永田先生は、とても気さくで
誰にでも温かく垣根がなく
なんでも面白がられ(イタリアでレンタカーの後ろガラスを割られてバッグを盗まれた話など)
話題も豊富
人脈もとてつもなく広くて・・・・・
風貌は、写真よりお若く、背もあり骨太でスラーっとしてダンディ。
(昭和22年生まれ。朝日歌壇撰者・歌会始撰者。現在は京都産業大学教授。)

講演は「風土と文学ー歌人 河野裕子をめぐって」
河野裕子さんの4つの時期(熊本・近江・京都・アメリカ)の歌16首について
お話されました。
その中で一つ。
一番、気になる、
一番、今の自分の心に響いてきた歌を。

アメリカ・ワシントンDCに先生が癌の研究者として行かれていた時期、
河野さんがお子様2人とともに生活されていた頃の歌

「日本人が日本人がといふ自意識に私やせるなよ言葉やせるなよ」  『紅』

河野さんは自意識の強いひとだったが
現地の人達の襞の中に入って行くことによって
自分自身がほぐれて、自分を守ろうとすることで返って言葉がやせることに気付いた時の歌が
これだと解説された。

自意識が強すぎると
自分も言葉もやせることになるんだなと心して聴いた。

「長生きして欲しいと誰彼数へつつつひにはあなたひとりを数ふ」  『蝉声』

撰者の哀しさでつい「いい歌だね」と、なんとまぬけたことを言ってしまったことか、
「ありがとう」と言わねばならなかったのにーと。

「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」 『蝉声』

有名な歌。
河野さんが家族、特に「あなた」に伝えたいという思いで最期に振りしぼられた歌!!


いい歌を作ることも大事だが
「伝えたい」という思いのほうがより大事と。

この2日間、有難いことに
思わぬ詩歌のご縁を頂きました。
深謝。

~これから先は余談・・・

永田先生と兜太師とは、朝日の撰者の関係で
「トイレでなぜかよく一緒になるトイレ友達」だと
おっしゃっていた。
そして、「とても大きな人」ともおっしゃった。

そうです!兜太師も永田先生もすばらしく大きなお方なんです。
だからか、そういう結社は大所帯。

9日の佐賀・武雄での羽生・森内名人戦に
新聞社の企画で1時間20分同席されていたそうで~。
羽生さんが長考に入られて
出るに出られず
沈黙がかたまりになっていて、ヒリヒリ痛かった
いたたまれない痛さを感じたそうで~。
もう二度と経験できない貴重な経験だったと。

森内さんに対して
気にならなかったか後で尋ねられたら
「気を消しておられたから~」と言われたそうだ。
さすが大先生ですね。

「たとへば君ガサッと落葉すくふやうに私をさらって行ってはくれぬか」『森のように獣のように』
そういわれたら、さらうしかないですよね(笑)
だと。・・・そりゃあそうです。


「塔」短歌会に入会しているひとの縁で
お泊りのホテルにお迎えに行った時
拙句集もちゃっかりお渡しできました。

新幹線口にお送りした際(言っておきますが4人でです)
駅舎にお入りになる前に
2回も3回も手をふってくださった。
ふ~む・・・・・・。
これもひとたらし!?




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