17日、ダライラマ法王と科学者の対話「宇宙・生命・教育」にパネリストとして参加してきました。
「コスモス・セラピーは現代の方便たりうるか」というタイトルでコスモス・セラピーのエッセンス、仏教と現代科学のコスモロジーと臨床心理学の融合の可能性やその意味について、15分でしたが、それなりにうまくまとめて語ることができたと思います。
法王は、ビッグバン宇宙論では始まりがあるのに対して仏教では始まりはないことになっているという点に、あえて言うとこだわっておられるようで、コスモス・セラピーOKとは言われませんでした。全面否定でもありませんでしたが。
そこのところ、ゴータマ・ブッダ以来、仏教ではすべての教えは方便であるという私の理解からすると、始まりがあるというコスモロジーのほうが、すべてのもののつながり、そして一体性を現代人に伝えやすいのなら、始まりはないという従来の教義・建前をいったん脇に置いても、伝えやすい理論=仮説のほうを採用するというのが仏教本来の戦略であるべきではないか、と突っ込んで議論したいところでしたが、短い時間なのでそこまで行かなかったのが残念でした。
それから、パネリスト全体に「科学と宗教」というポイントについて、呪術的宗教、神話的宗教、哲学的宗教、霊性的宗教という宗教のレベルについての共通認識がないまま話がすれちがっていると思えましたので、その点についてだけは、最後のほうで発言することができました。
ダライラマ法王は、いまさら私が言うまでもありませんが、とても気さくな偉ぶらない慈愛に満ちたお人柄で、こうした方が現代のスピリチュアリティのリーダーとして存在しておられるのは人類にとってとても幸いなことだ、と感じました。
ダライラマの公式サイトでシンポジウムの様子がニュースとして公開されています。関心のある方はご覧下さい。