彼は60歳。今年還暦を迎える。
彼は何とも言えない人を惹きつける人で一度会ったら忘れない何かを持っている
彼が私の元を訪れたのは2年前・・・。その頃の彼は仕事で成功し自信に溢れていた
でも一つだけ彼には弱点があった。それはギャンブルを止められずお金が流れてしまう。一ヶ月100万以上の収入があるのに、借金をし、遊んでしまうのだ
今回私の所に来たのは、愛する人に結婚相手が出来て、お別れを言われたのがきっかけだった
私は彼の過去に透視する必要がある事に気づいていた
そしてセッションは始まった
彼のお母さんは旦那さんである彼の父が単身赴任で殆ど家に帰って来なかった
だから彼の母親は寂しくて競艇や競輪場に行くことで寂しさを紛らわしていた
その時代では裕福な家だったにもかかわらず、そのお金を殆どギャンブルに投入していった
母親である彼女は泣いていた
愛を求めてギャンブル場を彷徨い、満たそうとしたのだ
彼は家に帰ると鍵がかかっていて、家に入れない。母の帰りを外で遊び待って
家に入るのだ
時々、彼は末っ子だから母い連れられてギャンブルをしに連れていってもらえた
彼にとってギャンブル場は、唯一母との思い出がある場所であり、母からの愛情がもらえる場所だったのだ
彼は母の寂しさを隣にいて知っていた
ギャンブルにのめり込んでいけばいくほど、彼は母を小さな体で包み込むように
母の傍で母を見つめていた
彼は母の傍が好きだった
柔らかい温もり・・・母の匂い・・・
母を本当に愛していたのだ
年を取り、彼は家庭を持った
しかし、彼は女遊びを止める事はなかった
彼は女性の中に母を捜していた
彼が唯一愛したのはこの世でたった一人、母だけだった
ギャンブルをやめないのも、死んだ母の哀しみを癒すようだった
彼の哀しみは母が哀しんでいたこと・・・そして母の傍にいられない事だった
そんな彼はいつものように付き合っていた人がいた
彼女は彼がどんなに遊んでも彼を許し彼に尽くした
すべてを捨て、借金してまで彼をとことん愛したのだ
その彼女が結婚するから・・・と別れの話
彼はその時ようやく気づいた
彼女を愛していた事に・・・
彼女は母を求めて満たされる事のなかったハートを満たしていてくれていた
彼には家庭がある。
彼女は結婚を選んで彼から身をひこうとしていた
彼はこう言った
「一緒にブランコに乗って背中を押してくれていた人が、突然お母さんが迎えに来て帰ってしまったようだ。だから一人で遊ぶよ・・・」
私はその声を聞いて胸が詰まった
彼の全人生が母で始まり母で終わろうとしていた
彼は寂しかったのだ
彼は肺を侵されていた
私は人生のなんとも言えない切なさを味わっていた
生きるって・・・
答えのない答えを見つけようとしていた
セッションが終わり、彼は帰っていった
何も見出せなかったと思っていたセッション・・・なのに彼のオーラは輝いていた
彼はセッションで、もう一度母親に会えたような気がしていたのだろう
彼の後ろ姿を見ながら、少年が立って人生を転びながら歩いている姿を見ていた
彼は少年だった
けなげに母を待ち、母を待つ事で母の哀しみを全身で受け止めた彼の強さと切なさがそこにはあった
セッションが終わった私は夕陽が部屋を染めていくのをずっと見ていた
人生はそのものが光なのだと・・・
沢山の哀しみ・・・そんなものさえも、素晴らしい神の贈り物なのだと・・・
泣きながら私はじっと生命の行く末を見ていた
「生命の声を聞く者・・・」これが私なのだと・・・
もう一度深く息をした
私は生きて、今ここに存在していた
彼は何とも言えない人を惹きつける人で一度会ったら忘れない何かを持っている
彼が私の元を訪れたのは2年前・・・。その頃の彼は仕事で成功し自信に溢れていた
でも一つだけ彼には弱点があった。それはギャンブルを止められずお金が流れてしまう。一ヶ月100万以上の収入があるのに、借金をし、遊んでしまうのだ
今回私の所に来たのは、愛する人に結婚相手が出来て、お別れを言われたのがきっかけだった
私は彼の過去に透視する必要がある事に気づいていた
そしてセッションは始まった
彼のお母さんは旦那さんである彼の父が単身赴任で殆ど家に帰って来なかった
だから彼の母親は寂しくて競艇や競輪場に行くことで寂しさを紛らわしていた
その時代では裕福な家だったにもかかわらず、そのお金を殆どギャンブルに投入していった
母親である彼女は泣いていた
愛を求めてギャンブル場を彷徨い、満たそうとしたのだ
彼は家に帰ると鍵がかかっていて、家に入れない。母の帰りを外で遊び待って
家に入るのだ
時々、彼は末っ子だから母い連れられてギャンブルをしに連れていってもらえた
彼にとってギャンブル場は、唯一母との思い出がある場所であり、母からの愛情がもらえる場所だったのだ
彼は母の寂しさを隣にいて知っていた
ギャンブルにのめり込んでいけばいくほど、彼は母を小さな体で包み込むように
母の傍で母を見つめていた
彼は母の傍が好きだった
柔らかい温もり・・・母の匂い・・・
母を本当に愛していたのだ
年を取り、彼は家庭を持った
しかし、彼は女遊びを止める事はなかった
彼は女性の中に母を捜していた
彼が唯一愛したのはこの世でたった一人、母だけだった
ギャンブルをやめないのも、死んだ母の哀しみを癒すようだった
彼の哀しみは母が哀しんでいたこと・・・そして母の傍にいられない事だった
そんな彼はいつものように付き合っていた人がいた
彼女は彼がどんなに遊んでも彼を許し彼に尽くした
すべてを捨て、借金してまで彼をとことん愛したのだ
その彼女が結婚するから・・・と別れの話
彼はその時ようやく気づいた
彼女を愛していた事に・・・
彼女は母を求めて満たされる事のなかったハートを満たしていてくれていた
彼には家庭がある。
彼女は結婚を選んで彼から身をひこうとしていた
彼はこう言った
「一緒にブランコに乗って背中を押してくれていた人が、突然お母さんが迎えに来て帰ってしまったようだ。だから一人で遊ぶよ・・・」
私はその声を聞いて胸が詰まった
彼の全人生が母で始まり母で終わろうとしていた
彼は寂しかったのだ
彼は肺を侵されていた
私は人生のなんとも言えない切なさを味わっていた
生きるって・・・
答えのない答えを見つけようとしていた
セッションが終わり、彼は帰っていった
何も見出せなかったと思っていたセッション・・・なのに彼のオーラは輝いていた
彼はセッションで、もう一度母親に会えたような気がしていたのだろう
彼の後ろ姿を見ながら、少年が立って人生を転びながら歩いている姿を見ていた
彼は少年だった
けなげに母を待ち、母を待つ事で母の哀しみを全身で受け止めた彼の強さと切なさがそこにはあった
セッションが終わった私は夕陽が部屋を染めていくのをずっと見ていた
人生はそのものが光なのだと・・・
沢山の哀しみ・・・そんなものさえも、素晴らしい神の贈り物なのだと・・・
泣きながら私はじっと生命の行く末を見ていた
「生命の声を聞く者・・・」これが私なのだと・・・
もう一度深く息をした
私は生きて、今ここに存在していた