6月15日(日)
夫、長谷川泰三は金沢の地で静かに息をひきとった
前日から下痢をしていて、膀胱が痛い、お腹が痛いと言っていた
右足の麻痺をしている足が痛むことはあっても、お腹が痛いということはなかった
それでいつも飲む、痛み止めの強い薬を飲み、次の日のワークショップに備えていた
でもこの薬はかなり強い薬で、ろれつが回らない、身体を動かすことが不十分になるなど
いろいろな副作用が出るので、次の日は午前中は難しいだろうなと思っていた
次の日、やはり午前中は起き上がれず、午後も起きれなかった
布団を見ると、血のような水下痢が・・・
東京へ帰ろうと私が言うと、「俺がいかなかったら、遠くから来ている受講生に申し訳ない」と
どうしても帰ろうとしなかった
ワークをするなら、しっかりしてと
強い口調で私は彼に告げ、身動きできない彼を抱き上げ、お風呂にいれ、身支度をして
会場に下りた
会場について、音楽をかけると彼は大きな声で泣き出した
「みんなごめんな・・・こんな俺でごめんな・・・」
私は彼を抱きしめて、ワークに入ろうとした時、
彼は声にならない声で、私に向かって「愛してる」とゆっくりと・・・
私は涙が止まらず、そのままワークに・・・・
ろれつがまわらない、意識ももうろうとしているのに
ワークを終えた
私と受講生を繋げたワークになった
これは泰三さんが私が一緒にワークに参加する前から言っていたことで
これがしたかったんだって前に言っていたとおりのワークだった
それから休憩に入ろうとしたが、私はどうしてもいてもたってもいられず
「ここに立つのは、私ではなくて、泰三さんあなたなんだよ」
と言った
「みんなあなたが大好きで、あなたのようになりたくてここにいるんだよ」
そう言い終ると
泰三さんは又大声で泣き出した
「こんな俺でごめんな・・・恥をさらしてここにいるんだ。みんな俺を見たがっている。だから・・・・・・・・・・・・・・」
「みんな泰三さんを抱っこしてあげて」
泰三さんは一人ひとりにハグされて、幸せそうだった
それから、ゆっくりと眠っていった
まだワークの時間はあったが、昏睡状態に入ってしまったので
ホテルの部屋で一緒に添い寝をして眠りについた
1時間くらいたってから、泰三さん帰ろうと起こすと、びくともせず
動かなかった
昏睡状態は今までもよくあったので、このまま目を覚まさないなんてことは考えられなかった
身体はまだ暖かく、いびきもかいていたが、いつものいびきとは違っていた
あのとき、それが最期の息だと分かっていれば・・・・・・
救急車で運ばれたが、彼が息を吹き返すことはなかった
夕方、夕陽の中・・・・時間が止まってしまった
こんなにも早く逝ってしまうなんて
本当に静かで幸せそうな顔をして、穏やかな顔をしていた
すごく幸せで幸せで、・・・・
だからなんとなく、もしかしたら無意識のレベル、直感で分かっていたのかもしれないけれど
私の感情は彼が亡くなったことで、狂ってしまった
彼は私の命であり、私の情熱の源
私の中の神であり、私そのものだった
私の中の悲しみは癒えることはない
葬儀を無事に終え、一人ぼっちで、彼と一緒にいた部屋に戻り
彼の骨と一緒にずっといる
一時も骨を離さず・・・・・
彼とのパートナーシップの本を執筆しはじめた
ここでは体験したことは詳しくは書かない
ひとつだけ言えるのは、亡くなってすぐ、彼は私の元にまだいた
彼の思い、感情がはっきりと分かり、姿も見えていた
49日が近づくたびに、その繋がりは遠いところへ行ってしまい、かなり苦しんだ
なぜなら、彼と繋がれるということだけが、私を生かしていたから
でも今月8月22日、再び繋がれるようになった
彼をとても近くに感じる
それは人格として肉体をもっていた時よりも
より大きい存在の魂として、
二人は共有しあっている
私の生きる意味
それが彼だった
だから生きる意味が分からない
師に会う機会がありそのことを聞いた
寿命は肉体意識が決めるのか?という私の質問に
師は言った
「そうじゃないよ
君の意識が決めるんだよ
僕の元にあるクライアントが現れて、奥さんを彼は亡くしたんだ
それで、もう一度人生を再設定してと僕は言ったんだけど
彼はありがとうと僕に挨拶をしてこう言ったんだ
僕は自分の行く場所を知っています。
その4ヵ月後に彼は健康だったにもかかわらず亡くなったんだ」
師は私が死への決意をしていることを知っていて
最期に師に会いにいったことを知って
その話をしてくれた
完全に個としての私の魂を祝福し、私がどんな決断をしようとも
それを止めることをせず、尊重してくれた
それが私の何か、生命の源に触れ
魂の奥に触れたのだった
私は頑固で、一度決めたら曲げない
自分以外の言葉に耳を貸すことはしない
決意はかたく、それに従うということを、は知っている
悲しみと痛みは無くならず、なおも痛みは増している
でも、何かが動いている
妹がつきっきりで、私の面倒をみてくれている
妹が死なないでというたびに、心が痛む
死ぬ理由を考えているが、理由が見つからない
生と死の狭間で、両方に足をつっこんでいる
今はまだ死なない
まだすることがある
死へのカウントダウンが始まった
本当はいつでも、すべての人がカウントダウンを聞いているのだけれど
人は自分だけは死なないとなぜか、死について考えることはしないのだ
死と悲しみ、痛みは私を本当の自分、魂の声を聞く場所へ連れていった
私は聞き続けていくだろう
自分の命の放射をどこへ向けるのか?
妹の私を思う必死の愛が、私をフランスへと飛ばした
彼女の熱い思いは、半端じゃない
チケットの手配、滞在費の一切を彼女が用意したのだ
多くの人に愛されて、守られて生きてきたように
再び、たくさんの人の思いを受けて、今ここにいる
しばらくは、このフランスの地で、泰三さんとの魂の原点があるこの場所で
宇宙の流れを感じることになるだろう
私の魂の問いかけが始まっている
私に もはや恐れるものは何もなくなった
私は今、何にも縛られず
自分と向き合っている
過去生・・・ノートルダム大聖堂で、私たちの魂は誓った
これはノートルダム・・滞在中のフランスのアパートの近くにある
私はこの大聖堂から一日中離れなかった
すっと椅子に座り、泰三さんに・・・そして神に祈りを捧げていた
「何千年も前からの約束・・・ずっと捜し求めてきた二人は
運命の定めにより、この日を迎えることができました」
「私、泰三は生涯友子さんを妻とし、愛することを誓います」
「私、友子は生涯泰三さんを夫とし、全身全霊で自らの人生を捧げ愛し抜くことを誓います」
これは、私たちが神の前で交わした約束であり
そして結婚式のときの誓いの言葉である
そして長い転生の中で誓った約束通り、二人は出会った
泰三さんの言葉を思い出す
「泰三さん、泰三さんのことは私が守るから・・・」と言った時、泰三さんはこう言った
「俺が友子を守っているんだよ」
いつでも二人は一つとして機能していて、まるで同じ言葉を同時に言うんだ
それもいつでも同じタイミングで・・・
この深い悲しみは
けして癒えることはない