2月に「城下町を歩く会」があるので、その下調べのために唐人町通りを歩きました。久しぶりの好天で初冬の日差しが通りいっぱいに差し込み、街路灯柱が長い影を引いて人も車もその影を踏みつけて行き交っていました。
武蔵屋は明治から続く老舗の履物屋で、中唐人町にお店を出して今は4代目だそうですが、先代3代目のお話を聞きました。「親父は昭和19年に戦死したですたい、海軍の航空母艦に乗っていたから、骨も還って来んとですばい。」こちらから水を向けた訳でもないのに、3代目はこんな話を悔しそうにされました。「終戦の時は12才でしたたい。だけん母親が苦労したっです。その母を扶けるためにわたしゃあ下駄職人になったっですたい。」、「いま県下に下駄職人の方は他ににおりますか・・」これは私。「イヤおりまっせん。うちだけですたい。」、「下駄造りで1番難しかとはどこですか。」、「そりゃあ鼻緒のすげ方ですたい。足に合わせてスゲますばってんお客さんに気にいってもらうようにスゲるにあ年季の要ります。」こんな話をしているとお客さんが入ってきたので私はお店を出ました。
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