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省エネ住宅エコポイントの新築に関して、U値計算が必要となります。
U値(旧Q値)は建物の外皮(屋根、外壁、床)から逃げる熱量を表し、エネルギーがどのくらい消費されるかを計算しています。
ここでは犬小屋を例に、U値を計算してみましょう。
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犬小屋を使ったU値計算をしてみます
犬小屋の内側は20℃、外気が10℃です。外の温度の方が低いので、このままの状態だと外に熱が流れて犬小屋の中の温度がどんどん下がり、いずれ外気と同じ10℃となります。
犬小屋の中の温度を20℃に保つには、流れ出す熱量と同じ量の熱量の暖房が必要です。どれだけのカロリー数が必要でしょうか・・・
まず、犬小屋を展開します
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この展開された「面(屋根、外壁、床)」が「外皮」です。
ここでは、展開された面の合計面積が1m2で全て1センチの厚みの木材で作られているとします。
「外皮」から逃げて行く熱量(エネルギー)は次の式で計算されます。
熱損失量の式
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犬小屋の外皮面積「A」は1m2、厚み「d」は0.01m(1センチ)でした。では熱伝導率λはどのくらいでしょう・・
熱伝導率は材料によって決まっています。
主な材質の熱伝導率λ
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熱伝導率は「熱の伝わりやすさ」を現わします。厚みが1mの時にどれだけの熱量を伝えるかという値で、大きい程熱を伝えやすい。
木材が0.12で、アルミが210だと、アルミの方が木材の1750倍もエネルギーが流れる事になります。
今回の「犬小屋」の場合、木材の厚みが1センチ(0.01m)の材料を使っているという事で、熱損失量は・・
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単純計算だと、500calが必要となります。外気が10℃で犬小屋の内側を20℃に保つ場合、500calの暖房器が必要と言う計算になります。
が・・実際には、もう少しメカニズムが働きます。
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実際には、表面熱抵抗が材料の内外に発生するので、ここで少し緩和されます。
熱抵抗を計算する式です
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全体の熱抵抗は各熱抵抗を合計した値になります
犬小屋の場合の木材1センチの熱抵抗を計算します
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外皮の熱抵抗が求まったので、いよいよU値の計算です。
U値の計算式です
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U値と熱損失量qをまとめると次のようになります
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では、犬小屋の場合のU値を計算してみましょう・・・
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犬小屋のU値が求まりました。U値は「外皮」1m2当たりの熱損失量なので、外皮の表面積(A)をかけて、全体の熱損失量を計算します。
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U値、q値を求めると、どれだけの熱量が必要なのかを計算する事ができます。
熱損失の基本的な考え方は、犬小屋と同じです。
U値の補正へつづく・・
一次エネルギー消費量の計算へ・・
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