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「石」の意味は?

2009-10-04 07:29:00 | 社会科こぼれ話
 校長日記時代、いくつかの質問をいただきました。生徒、保護者、同僚などからです。
 最も共感した質問は次のものでした。

 「江戸時代の何万石の石の意味がよく分かりません。」

 そうですよね。
 私もよく分かりませんでした。
 なぜなら、「石」はいろいろな使われ方をするからです。
 しかし、「石」を知ることは、日本人を知ることにつながります。

 「石」の前に、当時の単位がどのようにして決まったかについて知る必要があります。井沢元彦氏の『逆説の日本史』によれば、次のようになります。

【 容 積 】
 日本人が1日に食べるお米の量=3合(昔は3食お米で、肉体労働。しかもおかずは少ないのでお米の消費が多くなります。)
 1年で約1000合=100升=10斗=1石。牛乳パック180本分の容積が1石です。

 写真の一斗缶では10本分です。
 すなわち、一人の人間が1年間で食べるお米の量が1石なのです。

【 重 さ 】
 米1合=4両
 米1貫=100両=25合
 米1石=1000合=400貫=150㎏(米俵2つ半)
 ちなみに、現代人は年間400合のお米を消費します。400合=60㎏。

 これは米俵ちょうど1俵分の重さです。
 
【 面 積 】
 かつては1日に食べる3合が獲れる面積を1坪(畳2畳分 1間×1間 約3.3㎡)としました。さらに、1年間で食べる米(1000合=1石)が獲れる広さを1反としました。約1000㎡です。
 現代では、1坪で4倍の12合ほど収穫でき、1反(300坪)では4石の米(10俵分)を収穫できることになります。ある有機栽培農家では、だいたい1反で8俵ぐらいだと聞きました。
 場所や製法、米の種類によっても違うようです。

【 通貨単位 】
 1人が1年間に食べる1石の米代金を1両に決めました。
 1両は、現在の価値で約10万円になります(17世紀の場合)。
 すなわち、1石の米代金は10万円です。
 現在の米の市場価格は1石(150kg)が約4~8万円ぐらいでしょうか。米によって違いますが、17世紀よりは割安です。
 1反でとれる米の生産者価格は約10万円ぐらいでしょうか。
 場所にも、米の種類にもよりますが…。

 いかがですか?
 驚くべき事に、生活する上でのほとんどの単位は、お米が基準なのです。
 以前、鎌倉時代の武士は土地がすべてというようなことを書きましたが、それは 土地=米 ということなのです。

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