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12月9日は新聞休刊日

2019-12-09 05:40:51 | 社説を読む
今日は新聞休刊日のため、昨日のコラムの一部を紹介します。

毎日新聞
・ この時期になると、テレビや舞台に登場するのが忠臣蔵だ。元禄時代、江戸城で刃傷に及び、切腹となった主君のあだ討ちを果たす赤穂(あこう)四十七士の物語である

▲その赤穂藩主・浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)の終焉(しゅうえん)の地は現在の東京都港区新橋にあった大名屋敷。敷地に店を構えていたのが、今に続く和菓子の「新正堂」だ。人気の商品がある。「切腹最中(もなか)」という

▲サラリーマンも次々に買っていく。自分のミスで取引先に迷惑をかけ、謝りに行く時の手土産にする。切腹するほどの気持ちを伝えるためである。切腹最中を買うべき政治家は今年も多かった

▲週刊誌の不祥事報道で辞任に追い込まれた経済産業相と法相。大学受験の英語民間試験をめぐる「身の丈」発言で批判を浴びた文部科学相もそうだ。迷惑をかけた多くの国民のことを思えば、最中はいくつあっても足りない。ところで「桜を見る会」を主催した安倍晋三首相は買ったのかどうか……

▲忠臣蔵が今も人気があるのはなぜだろう。損得を顧みず、自己を犠牲にしてでも主君に忠義を尽くす。その姿が時代を超えて心を打つからではないか。主君を国民に置き換えれば、政治家もそうであってほしい

▲この和菓子店には江戸の火消しにちなんだ商品もある。内匠頭の祖父が率いた「武家火消し」が大活躍したことに由来する。政権もこれ以上、疑惑の火の手が広がらないよう国会を閉じ、年が変わって国民に忘れてもらいたいだろう。だが世間はそんなに甘くはない。切腹最中も甘さ控えめだ。


日本経済新聞
・ 「手りゅう弾」と聞けば、頭に浮かぶイメージは、どこか海外の戦場だろうか。だがこの軍隊の武器が日本の街なかで、しかも一般の市民に向かって使われたことがある。北九州市で2003年、暴力団の排除に取り組む店に投げ込まれ、従業員11人が重軽傷を負った。

▼北九州ではその後も、企業幹部の自宅が手りゅう弾で狙われるといった事件が相次ぐ。福岡県警が「発見したら踏んだり、触ったり、蹴飛ばしたりしない」と注意を呼び掛ける異常な事態となった。住宅街の倉庫からはロケットランチャーも見つかる。警察が反転攻勢に出て、組トップらを逮捕するまで長い時間を要した。

▼同じような驚きを覚える。暴力団山口組の分裂をめぐり、兵庫県尼崎市で一方の組関係者が別の組の幹部を殺害した。使われたのは、これまた軍用の自動小銃だ。殺傷力は拳銃の比ではない。事件の現場はたまたま路上だったが、当初は店の中で襲う計画だったという。抗争が続けば、市民が巻き込まれる可能性が高まる。

▼警察による銃器の押収は減少傾向が続く。それでも、あるところにはあるということか。抗争の封じ込めはもちろん、武器の摘発を進めて入手経路を解明してもらわねば。「日本で一番多くの武器を持つのは自衛隊で、次は警察。そして3番目が山口組」。これは警察関係者に聞いたブラックジョーク。まったく笑えない。


中日新聞
・ 「なんだって、あんなやつと一緒になってンだい」。そう聞かれたおかみさん、「だってさぶいンだもん」。おなじみ、古今亭志ん生の「厩(うまや)火事」のまくら。見込みのない男だろうと一緒にいれば、冬の晩でも身も心も温かい。笑いとともにしみじみとした夫婦の情愛が伝わってくる

▼娘の美濃部美津子さんが『おしまいの噺(はなし)』に貧しい時代の寒さしのぎ策を書いていた。すきま風が入ってくる寒い家だが、火鉢は使わぬ。火にくべた炭を三つほど入れた台に布団をかけて「みんなであたるの。もう体くっつけあって」。あの「さぶいンだもん」につながる

▼原因は未婚化の加速。そう聞けば、温め合えず、「さぶい」ままの若者たちが浮かぶ。厚労省によると二〇一九年に生まれた赤ちゃんの数が一八九九年の統計開始から初めて九十万人を割り込むことが確実になったという

▼ベビーブームの一九四七年から四九年の出生数は二百六十万人台。それがついには九十万人にも届かぬ。深刻さが分かる

▼社会保障制度が維持できぬと若い人に文句を言うのはお門違いである。結婚したくてもできない。そういう経済、社会状況をこしらえ、解決策を見つけられなかったのは彼らではない

▼「令和」を待って結婚する風潮があったとうわさに聞く。さすれば、来年あたりの出生数も少しはと期待したくなるが、日本の「さぶい」は厳しい。

※ 政治家の不祥事、暴力団抗争、少子化と、テーマは違いますが、ウィットのきいた話では共通しています。
 こんな文章が書けたらいいですね。

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