・ 全国学力テスト コロナの長期的影響が心配だ
・ 米国のアフガン撤収 混乱放置した責任は重い
「将来の夢や目標がある」「学校は楽しい」と回答した小中学生も減少した。修学旅行や体育祭、地域の祭りなどが相次いで中止され、子供同士のふれ合いが減ったことも影響したのではないか。
現在も感染の大きな波が押し寄せている。感染対策に留意しながら、できる限り学校教育を維持し、学びを止めないことが大切だ。子供たちの気持ちが暗く沈み、意欲を失うことがないよう、各地域で対策に知恵を絞ってほしい。
■20年間の米国の退潮
加えて今後も続ける空爆被害を地元に負わせるならば、タリバンへの追い風になった反米感情をさらにあおるだろう。
「失敗国家」の民心の荒廃と憎悪が、20年前の米同時多発テロの背景だったことを思い出せば、任務は「完了」どころか、「途中放棄」ではないか。
つまずきは20年前に始まっていたとみるべきだ。
冷戦後の「唯一の超大国」だった米国はテロ後、アフガン攻撃を始め、タリバン政権を倒した。さらにイラクにも侵攻し、フセイン体制を崩壊させた。
いずれも軍事力で「敵」を排除すれば、米国の望む政治体制を据え付けられるという発想が強かった。戦線を広げるにつれ、テロの土壌にある地域紛争や貧困、格差の是正に取り組む機運は薄れていった。
武力を背景にした体制転換は容易に進まない一方、米国による「テロ容疑者」の長期拘束や拷問などの人権侵害もおきた。その混沌(こんとん)のなかで、新たな過激派組織「イスラム国」(IS)も生まれた。
バイデン氏は「米国の使命は国造りではなく、米本土へのテロ攻撃を防ぐことにあった」と言う。それは図らずも、かつての超大国が自らを過信し、直面した限界の吐露でもあろう。
この20年間に、戦争の泥沼化の一方、米国自身が金融危機やトランプ現象などを経て、国力も威信も凋落(ちょうらく)した。
米本土に差し迫る脅威がなければ、世界に力を注ぐ余裕はない。それが本音だろう。アフガニスタン撤退は、対外的に圧倒的な力を行使できた米国パワーの時代が完全に終わったことを象徴している。
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