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第1回 金融経済教育研究会-1-

2011-04-23 18:47:45 | 社会科関連情報
今日は、第1回金融経済教育研究会でした。



オリエンテーションの後、名古屋市立大学大学院 経済学研究科 准教授
 川端 康 先生から
「今話題の経済ニュースから学ぶ~TPP参加で変わる日本~」
のお話を聞きました。



内容は、次の通りです。

1 TPPとは
2 FTA・EPAとは
3 関税とは
4 FTAの経済学
5 まとめ

TPPは、「環太平洋連携協定」などと訳されている、すべての品目で関税を撤廃するのが原則です。

FTAは、「自由貿易協定」。特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃する協定です。

EPAは「経済連携協定」。自由貿易協定を柱に、ヒト、モノ、カネの移動の自由化・円滑化を図り、幅広い経済関係の強化を図る協定です。



日本は、12カ国とEPAを結んでいますが、米・中・韓・EUと結んでいないため、比率は16.5%にすぎません。

日本は、農産物を除けば、世界で最も関税の低い国の一つです。自動車に関税を掛けていないのは、主要国では日本だけです。

しかし、農産物の関税は韓国、インドの次に高く、何といっても米の778%が目を引きます。



ここからが面白くなりました。

説明しにくいのですが、

Sが国内での供給を表します。
Dが需要です。
Pが価格です。

自由貿易では、国民の利益(総余剰)は、着色した部分になります。



関税をかけると、次の図の、dとfの部分の余剰が減ります。



しかし、生産補助金にすると、減る分はdのみです。

すなわち、関税をかける場合と、関税をなくして生産補助金を与える方がメリットが大きいことがわかります。


オランダは、農産物の純輸出額が世界で最大の国です。

穀物を輸入し、それで牛を育て、牛乳をさらにチーズなどに加工して付加価値を高めて輸出しているのです。
日本の工業と同じ加工貿易なのです。

川端先生は、日本はもともと工業部門の関税が低いので、TPPでは有利。
農業の所得保障と、オランダのような畜産と野菜を中心にした輸出できる生産農家を育てれば、むしろチャンスと言ってみえました。

おおむね賛成です。

問題は、主食である「米」です。

例え10年かけて段階的に減らしたとしても、778%の関税を撤廃したときに、米作はどうなるのでしょう。

私は、米だけは高くても国産を買いたいと思うのですが、皆さんはどうですか?

食の安全保障面からも気になるところです。



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