【音楽ガチ分析】ドビュッシー『亜麻色の髪の乙女』~ ルール完全無視の反逆児、なのにどうして美しい
〈クロード・ドビュッシー〉 1800年代後半にフランスに生まれた作曲家。 伝統的な和声を破壊し、全く新しい音楽を作り上げた。 フランス印象派の作曲家に数えられる。
〈総評〉
【楽式】 ・明瞭な旋律主題を持ち、ソナタ形式的に展開する3部形式。
【拍子・スケール】 ・ペンタトニックスケール(陽旋)が任意に用いられる。 →けっこういきなり出現する。 →しばしば平行和声を伴う。 ・あからさまなペンタトニックでなくても、ペンタトニック的な刺繍 音などで全体にペンタトニック感を漂わせる。 →主題断片1もペンタトニック的。
【メロディ・和声】 ・メロディに5高が多い。第5音に向かって終始するメロディ(主題断片2)も多い。 →筋の通った響きになる。 →9高や11高などもみられる。 ・和声は古典音楽を打破しようとしている。 →曲中の変終止 →「V-III」「II-IV」「VI-I」「IV-VI」といった3度進行の多用 →IIm7/V のようなオンコードをD和音として用いる →ペンタトニック的な和音の使用 →弱進行の使用 →平行和声の使用 →正規の解決をしない属7和音を感覚的に連用し、偶成和音とする ・調的な構造も古典音楽を打破しようとしている。 →属調がほぼなく、代わりに+VI調が多用される。 →展開部冒頭では属和音ではなく下属和音が保続される。