哲学チャンネルより インド哲学の始まり【ヴェーダ〜ウパニシャッド】【インド哲学解説】を紹介します。
ここから https://www.youtube.com/watch?v=ZFhM3bnWI00
動画の書き起こし版です。
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紀元前18世紀前後、 中央アジアで生活をしていたアーリア人がインダス川周辺に侵攻しました。 戦闘力の高い彼らは先住民族を排除して 現在のインドに移り住みます。 彼らは現世利益を目的とした祭式を重視する民族で 儀式の際に使用する神への賛歌を口伝で伝承していました。 この頃使われていた言語は、サンスクリット語の原型になったヴェーダ語です。 紀元前12世紀ごろになると口伝で伝承されていた様々な神への賛歌が 一つの体系にまとめられることになります。 まとめられたと言っても、書籍としてではありません。 実際に文字にしてまとめられたのはそれよりもずっと後になります。 これが有名な【リグ・ヴェーダ】です。 直訳すると聖なる(リグ)知識(ヴェーダ) 体系化された知識をマスターして儀式を取り仕切る司祭は それまでよりも力を持つようになります。 アーリア人はもともと狩猟と牧畜によって生計を立てていましたが 技術の進歩によって農耕が主な収入源に変わりました。 これによりそれまでよりも自然が重視されます。 自然すらも儀式でコントロールできると考えられていたので 儀式の重要度、司祭の権力はより強くなりました。 そして、司祭をはじめとする祭祀階級を【バラモン】と呼ぶようになり バラモンをトップにおいた組織が形成されます。 これがバラモン教の始まりであり、 カースト制度の始まりでもあります。 ちなみに、後にバラモン教が民間信仰などを吸収することで【ヒンドゥー教】が生まれます。 現在のインド人口の80%以上が、ヒンドゥー教徒だとされています。 【リグ・ヴェーダ】の成立を含む紀元前15世紀〜10世紀の500年間を 【前期ヴェーダ時代】と呼びます。 【後期ヴェーダ時代】と呼ばれる紀元前10世紀からは 【サンヒター(本集)】と呼ばれるヴェーダが成立します。 神々の伝承を扱った『サーマ・ヴェーダ』『ヤジュル・ヴェーダ』 呪術を扱った『アタルヴァ・ヴェーダ』 リグ・ヴェーダを含めた以上のヴェーダが狭義の意味での【ヴェーダ】です。 紀元前8世紀ごろになるとサンヒター(本集)に対する【付随】とされるものが成立します。 祭式の手順や神学的意味を説明した【ブラーフマナ(祭儀書)】 哲学的部分の注釈を担当する【ウパニシャッド(奥義書)】 その中間に位置する【アーラニヤカ(森林書)】 インド哲学においてはこの中でもウパニシャッドの影響が非常に大きいです。 ウパニシャッドに関しては別の動画で詳しく解説しますが 簡単に言えば祭式を形式的に執り行うようになったバラモンに対して 疑問を抱いた集団が真理を求めることでできた思想と言えるでしょう。 この【付随】までが広義の意味でのヴェーダです。 紀元前2世紀ごろになると、 インド二大叙事詩と称される 【ラーマーヤナ】と【マハーバーラタ】が生まれます。 マハーバーラタは【イーリアス】【オデュッセイア】と並んで 世界三大叙事詩に数えられています。 マハーバーラタの一部がかの有名な【バガヴァッド・ギーター】であり バガヴァッド・ギーターはガンディーにも影響を与えたと言われています。 西洋哲学においても、哲学以前の神話は非常に重要で 特に古代ギリシア哲学の思想家たちを神話なしでは語れないところがあります。 しかし、インド哲学においてのヴェーダの影響はそれと比較になりません。 現在まで続く信仰の中心になっている経典ですから むしろ、全ての哲学がヴェーダの解釈を始まりにしている。 と言っても過言ではないはずです。 ヴェーダの宗教(バラモン教)を正統的に解釈したのがインド哲学です。 ウパニシャッドがサンヒター(本集)の解釈を担っているのは当然として その流れを受けてあらゆる哲学学派が誕生しました。 その中でも代表的な哲学思想を【六派哲学】と呼びます。 六派哲学においてはヴェーダをそれぞれの立場で解釈します。 現在の『ヨガ』に繋がる思想も、この流れから生まれたとされています。 一方で、ヴェーダの宗教(バラモン教)とは違う思想を持つ集団もいました。 そのような思想家(修行僧)のことを【沙門】と呼びます。 釈迦も沙門の一人とされています。 釈迦の思想はその後、仏教を生み出します。 上座部仏教に伝わる経典である『パーリ仏典』には 釈迦と同時代に活躍した6人の思想家が登場します。 仏教側から見て異端な思想を持っていることから 彼らは【六師外道】と呼ばれました。 六師外道の一人【マハーヴーィラ】はジャイナ教の創始者です。 また、不可知論を唱えた【サンジャヤ】は 釈迦の弟子の中でも有名な【シャーリプトラ(舎利弗)】の師であったと言われています。 インド哲学はアーリア人の儀式の作法をまとめた ヴェーダという経典から始まりました。
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