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我孫子・手賀沼と愛猫レオンの徒然日記。漢検1級チャレンジャーの方の参考となるブログ。2018年7月から“俳句”も開始。

漢検1級 27-③に向けて その69 筝 竇

2015年12月12日 | 熟語の読み(音・訓) -個別記事- 
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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>

<漢検1級 27-③に向けて その69 >
●真夏の特訓で作った模擬試験問題、今になっても根強い人気があるのでしょうか(^^;)意外に“売れて”いますねえ、毎朝、アクセス分析の「ページごとの閲覧数」ってのをチェックすると・・・。それと、「熟語の読み・一字訓読」シリーズ・・・これは面白くもなんともない記事ですが、矻矻と学習されている方がいらっしゃるのでしょうか、あるいは、熟語の検索で当該ページがひっかかるのかな(^^;)いずれにしても、直近の記事だけでなく、過去の記事も広範囲に読まれているようで、ちょっと嬉しい・・・。
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●漢検漢字辞典第2版から・・・
<筝:ソウ、ショウ、こと、そうのこと、しょうのこと> *「ショウ」は呉音。「ショウ」では音熟語見当たらず。
・熟語は「筝曲(ソウキョク)」、「下つき」で「風筝(フウソウ)」←何の説明もなし・・・。
・「しょうのこと」も意味欄での説明のみ。・・・ま、これはマイナーだから問題にはしないが(ーー)。でも、筝簫(ソウショウ)=しょうのこと。
・問題は「風筝」・・・
 *各辞典によれば、①凧、いかのぼり、紙鳶、風鳶 ②(軒先につるす)風鈴  ・・・という意味。
 *「筝」自体とはあまり関係のなさそうな、この熟語をシレっと載せている・・・こういうトコロが何を考えているのだ!と、いいたい(ーー)
・まさか、「風筝」=風鈴なんて、類義語問題で出すつもりじゃないだろな(ーー)・・・なんと姑息な(ーー)
<竇:トウ、トク、あな、あなぐら、くぐり、みぞ> *「トウ」も「トク」も漢音・・・こういう時は音による読み分けがある筈・・・
・第2版では、「くぐり」以外は音訓表示あり・・・音による読み分けの説明はナシ・・・大体、音熟語の掲載がナシ・・・
 *あな、あなぐら・・・竇窖(トウコウ)=円形と方形のあなぐら、竇際(トウサイ)=あなぐらの辺り
 *くぐり・・・閨竇(ケイトウ)=圭竇=小戸、くぐり門。竇逕(トウケイ)=袋露地や小路。脇道。
 *みぞ・・・(「瀆・涜(トク)」と通じている由) 四竇(シトク)=中国の4つの大川のこと。 *「山川林沢、四竇に祭る」(周礼)
  この「四竇」は大漢和・大字源・字通ともに「シトク」と読んでいるから、間違いなさそう・・・。
・問題は「四竇(シトク)」以外の“みぞ”とか“水道”とかに当たる「竇」の読み・・・
 *大字源では、
  ①トウ(漢音)=あな、あなぐら、くぐりあな、・・・
  ②トク(漢音)=みぞ、水道  類:「瀆」
  とあるので、「水竇」という熟語は「スイトク」と読むのかと思ったら「スイトウ」(大字源・字通・大漢和とも)・・・。
 *なんじゃこりゃ、辞典もおっかしいんじゃないの?と思って、さらに、大漢和を精査したら、大漢和には、
  ①「トウ」音で、「みずぐち、水道」
  ②「トク」音では「みぞ」
  とあり、大漢和としては首尾一貫してた・・・だから「水瀆」は「スイトウ」(=みずぐち、水道)、「四竇」は「シトク」・・・。
 *大字源の音分け①・②の、②の中の「みぞ、水道」と一緒くたにしているのがマズイのかもしれません・・・。

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漢検1級 27-③に向けて その68  文章題訓練㉜

2015年12月12日 | 文章題
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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>

<漢検1級 27-③に向けて その68>
●柳田邦夫の「山の人生」・・・。
●難度は並み・・・80%(24点)以上はとりたい・・・。

●文章題㉜:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10

「山の人生」(柳田国男)
「・・・中村・沢目・蘆谷村と云ふは、岩木山のふもとにして田畑も多からねば、炭を焼き薪を(ア)樵りて、 (1)カッケイの一助となす。此里に九助といふ者あり。常の如く斧を携へて山奥に入り、柴立ちを踏み分け渓水を越え、二里ばかりも(イ)躋りしが、(2)リョウカクたる平地に出でたり。年頃 此の山中を経過すれども、未だ見たること無き処なれば、始めて道に迷ひたることを悟り、且は山の広大なることを思ひ、歎息してたゝずみしが、偶、あたりの谷蔭に人語の聴えしまゝ、其声を知るべに谷を下りて打ち見やりたるに、身の長七八尺ばかりの大男二人、岩根の苔を摘み取る様子なり。背と腰には木葉を綴りたるものを纏ひたり。横の方を振り向きたる面構へは、色黒く眼円く鼻ひしげ (3)ホウトウにして鬚延びたり。其の状貌の醜怪なるに九助大いに怖れを為し、是や兼て赤倉に住むと聞きしオホヒトならんと思ひ急ぎ遁(に)げんとせしが、過ちて石に蹶き転び落ちて、却りて大人の傍に倒れたり。仰天し(ウ)慴慄して口は物言ふこと能はず、脚は立つこと能はず、唯 手を合せて拝むばかり也。かの者等は何事か語り合ひしが、やがて九助を小脇にかかへ、(4)ケンソ巌窟の嫌ひなく平地の如くに馳せ下り、一里余りも来たりと思ふ頃、其まゝ地上に引下して、忽ち形を隠し姿を見失ひぬ。九助は次第に心地元に復し、始めて幻夢の覚めたる如く、首を挙げて四辺を見廻らすに、時は既に申の下りとおぼしく、太陽(エ)巒際に臨み返照長く横たはれり。其時同じ業の者、手に手に薪を負ひて(オ)樵路を下り来るに逢ひ、顛末を語り介抱せられて家に帰り着きたりしが、心中鬱屈し顔色(5)ショウスイして食事も進まず、妻子等色々と保養を加へ、五十余日して漸く回復したりと也。・・・
・・・山男はまた酒がすきで酒のために働くという話が、『桃山人夜話』の巻三に出ている。「遠州秋葉の山奥などには、山男と云ふものありて折節出づることあり。(カ)杣(キ)山賤の為に重荷を負ひ、助けて里近くまで来りては山中に戻る。家も無く従類眷属とても無く、常に住む処更に知る者無し。賃銭を与ふれども取らず、只 酒を好みて与ふれば悦びつつ飲めり。物ごし更に分らざれば、唖(おし)を教ふる如くするに、その覚り得ること至つて早し、始も知らず終も知らず、丈の高さ六尺より低きは無し。山気の化して人の形と成りたるなりと謂ふ説あり。昔同国の白倉村に、又蔵と云ふ者あり。家に病人ありて、医者を喚びに行くとて、谷に踏みはづして落ち入りけるが樹の根にて足を痛め歩むこと能はず、谷の底に居たりしを、山男何処よりとも無く出で来りて又蔵を負ひ、屏風を立てたるが如き処を安々と登りて、医師の門口まで来りて掻き消すが如くに失せたり。又蔵は嬉しさの余りに之に謝せんとて(ク)竹筒に酒を入れてかの谷に至るに、山男二人まで出でて其酒を飲み、大いに悦びて去りしとぞ。此事、古老の言ひ伝へて、今に彼地にては知る人多し」(以上)。又蔵が医者の家を訪れることを知って、その門口まで送ってくれたという点だけが、特に信用しにくいように思うけれども、酒を礼にしたら悦んだということはありそうな話であった
・・・秋田方面の山鬼ももとは山中の異人の(6)ハンショウであったらしいのが、のちには大平山上に常住する者のみをそういうことになり、ついには三吉大権現とも書いて、儼然として今はすでに神である。しかも佐竹家が率先して夙にこれを(7)スウケイした動機は、すぐれて神通力という中にも、特に早道早飛脚で、しばしば江戸と領地との間に吉凶を報じた奇瑞からであった。
・・・最後になお一つ話が残っている。数多ある村里の住民の中で、特別に山の人と懇意にしていたという者が処々にあった。その問題だけは述べておかねばならぬ。天狗の方にも名山(8)レイサツの彼らを仏法の守護者と頼んだもの以外に、尋常民家の人であって、やはり時としてかの珍客の訪問を受けたという例は相応にあった。その中でもことに有名なのは、加賀の松任の餅屋であったが、たしか越中の高岡にも半分以上似た話があり、その他あの地方には少なくとも世間の噂で、天狗の恩顧を説かるる家は多かったのである。今ではほとんと広告の用にも立たぬか知らぬが、当初は決してうかうかとした笑話でなかった。訪問のあるという日は前兆があり、またはあらかじめ定まっていて、一家(9)カイシンして室を浄め、(ケ)叨りに人を近づけず、しかも出入坐臥飲食ともに、音もなく目にも触れなかったことは、他の多くの尊い神々も同じであった。災害を予報し、作法方式を示し、時あって憂いや迷いを抱く者が、この主人を介して神教を求めんとしたことも、想像にかたくないのであった。すなわちただ一歩を進むれば、建久八年の橘兼仲のごとく、専門の行者となって一代を風靡し、もしくは近世の野州古峰原のように一派の信仰の中心となるべき境まできていたので、しかもその大切なる(10)ケンメイ両界の連鎖をなしたものが、単に由緒久しき名物の(コ)餡餅であったことを知るに至っては、心窃かに在来の宗教起原論の研究者が、いたずらに天外の五里霧中に辛苦していたことを、感ぜざる者は少なくないであろう。・・・」
👍👍👍 🐑 👍👍👍

(1)活計 (2)寥廓 (3)蓬頭 (4)嶮岨(険阻) (5)憔悴 (6)汎称 (7)崇敬 (8)霊刹 (9)戒慎 (10)顕冥 
(ア)きこ(「こ」でもOKでしょう。) (イ)のぼ (ウ)*原文ルビは「しゅうりつ」。「しょうりつ」も可か。 (エ)らんさい (オ)しょうろ (カ)そま (キ)やまがつ (ク)ささえ (ケ)みだ (コ)あんもち 
👍👍👍 🐑 👍👍👍

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