東海道歩きで訪ねた場所「小夜の中山」。菊川の里から日坂の宿に行く途中にあります。山の上には幾つもの文学碑があり、特に西行の歌碑は大きく、一段と目立ちます。ファンの一人としてこれは嬉しい限り。その歌碑にある歌は次の通り。
年たけて又こゆべしと思ひきや命なりけりさやの中山
この歌は、『山家集』に前書きがあります。
あづまの方へ、相知りたる人のもとへまかりけるに、さやの中山見しことの、昔になりたりける、思いでられて
西行は二度この峠を越えて東の国を訪ねていますが、この歌は、文治二年(1186)に東大寺再建費用の砂金勧進のために奥州におもむく途中に詠まれたものでしょうか。その時、鎌倉に立ち寄り源頼朝にも会っています。当時の西行は69歳だったとガイドブックにありました。なんと私と同年です。「又こゆべしと思いきや」に西行の気持ちがこもっていますね。私も小夜の中山を越えてみて、同じ思いでした。現代の69歳と平均寿命が50歳くらいの鎌倉時代と比較できませんが、この小夜の中山は歌に残すほどの難所だったと思います。
また写真の歌碑の下の方に注目ください。小さな西行像があり、その前にお供えものまで置いてあります。熱烈な西行ファンがいるようです。