今日は 蒸し暑い一日でした。
6月に読んだ本です。
「女人平家 前・後編」 吉屋 信子著
仕事先の花やのお客様が貸してくれた本です。
吉屋氏の名前は知っていましたが 初めて読みました。
面白かったです
こんなにのめりこんで読んだ本は
最近ではなかったと思います。
文章が優美で 品があり
流れるような文体でそれでいて読みやすい。
あの平家一族の複雑な家系が
手にとるようにわかりました。
主に 清盛の妻・時子、その末娘・典子、
典子とは異母姉・佑子、の3人にスポットをあてて
描かれてますが、3人の生涯は波乱万丈で
優雅な何不自由ない姫君でありながら、時には切なく
とにかく夢中で読んでしまいました。
平家の女性では安徳天皇の母となった徳子が有名ですが、
他にも4人の娘達が それぞれに 自分の運命を受け入れ
たくましく 助け合いながら 生き抜いていくのです。
特に佑子と典子のお互いに相手を思いやり
助け合い 共に生きていく姿には
素直に感動してしまいました。
平家滅亡の後 源氏の世も3代しか続かなかった
ことを思うと「女人平家」という題名の
意味がわかった気がします。
4人の姫たちは 皆公家に嫁ぎそれぞれに 平家の血筋を
残していくのです。
『明治の華族制度で堂上華族としての近衛公爵家は
摂政近衛基實(盛子の夫)を祖として文麿に至っている、
花山院家は侯爵に、冷泉隆房(佑子の夫)の父隆季を
祖とする四条侯爵。七条家(典子の婚家)は
水無瀬子爵になる。
「平家は女系によって今も滅びませぬ!」
典子の快活な声がどこからか響く気がする…。』
この本の最後の一節ですが この典子の言葉が
全てを語っていると思います。
今まで 男性側からしか描かれていなかった「平家物語」
を 女性の視点で見せてくれた一冊でした。