もう10月も半ばです。
朝晩は ストーブが欲しい季節です。
「警察の血」上・下 佐々木譲 著
友人から借りた本。
この本は かなり厚い本で上・下巻あり 読み始めるのに
ちょっと躊躇したほどでした。
でも読み出したら 面白くて 夢中で読んでしまいました。
それもそのはずで「このミステリーがすごい!」2007年版で、
第1位に輝いた本でした。(読み終えてから知ったんですけど)
≪昭和二十三年、上野署の巡査となった安城清二。
管内で発生した男娼殺害事件と国鉄職員殺害事件に
疑念を抱いた清二は、跨線橋から不審な転落死を遂げた。
父と同じ道を志した息子民雄も、凶弾に倒れ殉職。
父と祖父をめぐる謎は、本庁遊軍刑事となった三代目和也に
ゆだねられる……。戦後闇市から現代まで、
人々の息づかいと時代のうねりを甦らせて描く警察小説の傑作。≫
ミステリーというほどの謎解きはありませんが
「警察官」という職業を親子三代にわたって描いています。
特に私が興味深かったのは、民雄の第二章。
生活のため 大学進学をあきらめ 警察官になった民雄が
「命令」によって大学生として 学生運動真っ只中の時代に、
学生として大学に潜り込み、赤軍過激派の内偵をするあたりは
本当にあったかのような、リアルな緊張感があり、
ハラハラドキドキしながら読みました。
民雄がこの時に経験した ギリギリの恐怖と緊張が
後に 彼の精神に重大な影響を及ぼし 結果的に「殉職」
という道をたどっていってしまうのですが、
大きな「組織」に抗えない 虚しさや憤りを
民雄と一緒に体感できました。
こういった公安による「潜入捜査」や
第三章での警察官による警察官の「監視、内偵捜査」
など 本当にあることなのでしょうか。
「組織」の内幕を描いた小説を「組織」の中にいる
現職の「警察官」の方はどのような感想をお持ちになるのでしょうか。
単純な私などは 全てが本当にあることと思ってしまうのですが・・・。