暇だと色々なことを考える。
近所のオヤジは珍しく草むしりをしていたと思ったら何を作ろうとしているのか板を出してきてドンドンと釘を打ち始めた。
私はテレビの画面に時々出る「インターネットに接続されていません」と云う文字が何故か気になってしまった。
テレビへは有線でしかネットに接続できないようなので、Win.7PCの横に置いてあるルーターと接続することにして大まかにテレビまでの距離を測り電気店で10mのLANケーブルを買ってきて接続を試みたら、何と3m程足りない。
苦労が水の泡となり、気落ちして横になっていたら思いついたのがルーターの方を3mテレビに寄せられないかと云うこと。
ガバッと起き上がってルーターの所へ行き裏側の配線を確認。
ルーターと電波を飛ばすwifi とを接続しているので電源コードも入れると10本程の線がグチャグチャに絡まって出ているのが見えた。
どうせヒマだからと線を一つずつ外す謎解きゲームが始まった。
全部を一度に抜くと元に戻す自信が無いからだ。
これは予想以上に辛い作業で一本ずつコードを抜いて迷路から脱出させ、元の場所に差し込んでは電源を入れて正常に動くかを確認する。
延々と続く作業を終えていよいよルーターを移動して新たにコードを固定するためにトンカチでドンドン。
途端に無関心を装っていたルンバから「やっぱりお爺ちゃんの子供だねぇ」と云う言葉が飛んだ。
そう言えば亡父は釘を打ち付けるのが好きで、新築直後の自分の家に釘を打ちまくっていた。だから部屋の壁は穴だらけ。
それを思い出して私へ「穴を開けるな」と云う強い叱責だ。
私は父の遺影を見、控えめに2本ビス留めの穴を開けただけでトンカチを工具箱へ戻した。