J・W・フルブライト『権力の驕りに抗して』(日経ビジネス人文庫)
を読んだ。
日本でもフルブライト留学生制度といえばご存知の方も多いと思う。
アメリカの議員を長年勤め外交関係の役職に就いていた。
半生を振り返り、誇れることが三つあったという。
1.留学生制度の設けたこと
2.大戦中から国際連合機構を提唱したこと
3.歴代大統領、連邦政府の権力の横暴、傲慢さを批判し、アメリカの外交政策をまともで、良識的で、人道にかなったものにしようと努めてきたこと
(p.12)
三つとも平和への思いからきている。*残念ながら現実には、まだ平和になったとはいいがたいと述べている。
この考え方が良い。人々の交流が活発になり、外国の友達が増えれば、まさか戦争を仕掛けようなんて考えは生まれないし、あってはならないとの思いから留学生制度を創設したこと。
著者は、ローズ奨学生としてオックスフォードへ留学していた経験が非常に大きかった、と振り返っている。
留学地における体験を通して、私は異国に長く滞在することが、諸外国の文化や歴史を理解するのに決定的に重要だと実感した(p.39)。
できるだけ多くの人が若いうちに海外で学ぶ経験をして欲しいが、なかなかむずかしいので、次代を担う若者に国際的体験の機会を与えること、と考えた。
素直な気持ちで、自分が育った国とは別の国のスポーツ、芸術、言葉、歴史、人、生活、食生活などなどを受け入れ、楽しみ、そしてまた学ぶ。
人的交流こそ平和への近道だと確かに思う。